第71話 体調が悪い時って大概機嫌が悪い
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外伸び、その時にはなのはは涙目を浮かべながら両手をバタバタとばたつかせているのが見えた。
必至に止めるように哀願するなのはのその顔が、ふと銀時には可愛く見えてしまい、また同時に少し苛めたくなってしまったのだ。
「いふぁいいふぁい、やめふぇよぉ、ぎんとふぃ〜〜〜」
「う〜ん、どうしようかな〜?」
「もうやめふぇよ〜」
「わぁったわぁった。しゃぁねぇから止めてやるよ。俺ぁ優しいからな」
そう言い、手を離す。銀時が引っ張っていたその両頬は僅かに赤く腫れ上がり、その頬を抑えながたまた涙を流していた。
「う〜〜、痛い……凄く痛かったよぉ、銀時ぃ」
「痛い? んなのったりめぇだろうが。俺達ぁ今こうして生きてるんだからよぉ。生きてる間は辛ぇ事や痛ぇ事ばっかだろうよ。でもよ、そんな中でもたまには嬉しい事や楽しい事もある。だから生きるってのが良い事なんだろ?」
「………銀時、上手い事言って纏めたつもりみたいだけど、人の事苛めた後だとあんまり意味ないと思うんだけど―――」
「あぁ!? あんま生言うと今度は鼻摘まんだろうかぁ?」
「ひぅっ!!」
銀時のドスの利いた啖呵にすっかりビビりが入ってしまったのか、両手で顔を隠し目を背けてしまった。流石にちょっと苛めすぎたかな。内心少し、本当に少しだけ反省した銀時は、そっとなのはの頭に手を乗せる。
「ま、あれだ。とっとと引き上げようぜ。このまま野晒じゃ風邪引いちまうよ」
「………う、うん」
「ったくよぉ、こんな事なら予報見ときゃ良かったぜ。傘なんざ持ってねぇっつぅの!」
ぐちぐちと文句を垂れながら銀時は屍の山の中を歩く。そんな銀時の後に続き、なのはもまた屍の山の中を歩き、戦場を後にする。彼女が銀時に続いて歩く事はさほど珍しい事じゃない。幼い頃に戦場で出会った頃から、この光景はずっと繰り返されてきたのだ。
そして、大人になった今でも、それをただひたすらに繰り返しているに過ぎないのだ。
「………」
ただ、そんな二人の光景を、遠目から一人眺める高杉晋介の姿がある事を除けば………の話ではあるが―――
***
目を開くと、見慣れた天井が其処にあった。そして同時に聞こえてくる雨音。その音を聞き、銀時は軽く舌打ちをした。
「雨が降ると決まって同じ夢を見ちまう。だから雨は好きになれねぇ」
ふと、一人でそう呟きながら銀時はそっと寝床から起き上がった。辺りを見回せば自分以外には誰も居ない。さっきまで喧しく看病と称した暴力を振るっていたあのお妙の姿すらない。
銀時は、枕元に置かれたジャンプを手に取りそれを見つめた。
「ったく、ジャンプ買って来るんだったらちゃんと確認しやがれってんだ」
そう言って無造作に
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