第71話 体調が悪い時って大概機嫌が悪い
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けなのかも知れない。事の真相など知った事じゃないのだが、確実に言えることは一つ。
銀時は彼女の泣き顔など見たくなかった事だった。
「戦をする度にそうやって泣くのか? そんな調子じゃ次に死ぬのはてめぇだぞ?」
「………」
「人を斬るのが辛ぇのは分かるがよ、いい加減慣れろよ。羽織ってるそれや折角の得物が泣くぜ。えっと……何て言ったっけ? お前の使ってる奴」
「………」
銀時が必至に刀の名前を思い出そうとしている中、なのはは両手に持っていた刀にこびりついていた血糊を振り払い、その刀身を見せてきた。片方は銀色に輝く刀身を持ち、もう片方は淡い紅色を帯びていた。
どちらもかなりの業物と言える仕上がりの一品であったのだ。
「白いのが白夜、赤いのが桜月」
「そうそう、それだそれ! ったくよぉ、そんなすげぇ代物使ってる奴が戦場を駆け回る度に泣きまくるなんて知られたら笑われるぞ。攘夷戦争最強と謳われた紅夜叉様は泣き虫です。だなんて知られて見ろ。そしたら俺まで笑われちまう」
「……御免なさい―――」
銀時にそう言われてしまい、すっかり凹んでしまうなのは。現在進行形でブルー入ってた上に銀時にそう言われた為に相当ショックを受けたのだろう。
そんななのはの頬から流れる涙を、銀時は自分の親指で強引に拭い取って見せる。その行動に驚いたなのはが銀時を見る。
「ま、お前の場合その方が良いのかも知んねぇけどな。ったくよぉ、何だって俺ぁお前に勝てねぇんだろうなぁ。俺がお前よりも強けりゃぁよぉ………」
其処で銀時は黙り込んでしまった。其処から先の言葉が銀時の中にはなかったのであろう。いや、正確には見つからなかったと言うべきだろう。
それとも、単に恥ずかしかったのかも知れない。
その証拠に、銀時は頬を赤く染めながら鼻先を掻いていた。
「銀時が私より強ければ……何?」
「だぁ、もう! 人の揚げ足取るんじゃねぇ! あれだよあれ、普通男が剣で女に負けるってのがおかしいだろうが! 進撃の○人のエ○ンとミ○サかよ俺らは!」
必至に弁解している様子が相当面白かったのか、それとも話のネタがいまいち論点からずれてるのが面白かったのか。どちらかは分からなかったが、銀時のそれを聞いていた時、なのはは口元が僅かに緩み、笑みを浮かべていた。
本来なら喜ばしい事なのであろうが、今の銀時には何故か癪に障った。
「あ、てめぇ今笑いやがったな!」
「わ、笑ってない! 笑ってないよ!」
「嘘つけ! それじゃその緩み切った顔は何だよ! さっきまでガチガチに硬ぇ顔しやがった癖によぉ! そんな緩み切った顔なんざこうしちゃる!」
額に青筋を浮かべた銀時がなのはの両頬を掴みグイッと引っ張る。思った以上に柔らかった為か、なのはの頬を思いの
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