シュミットさんちのおおみそか
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を絡ませながら互いの唇をむさぼった。
そしてゆっくりと名残惜しげに唇を離す。
「よければ上の寝室でいっしょに寝ませんか?」
「ふふっ・・・いいですよ」
ほんのりと赤く染まった頬で見上げるなのはに向かってゲオルグが声をかけると
なのははそのわざとらしい口調にクスリと軽く笑ってから頷いた。
そして2人はこたつから出て立ち上がる。
「じゃあわたしはティグアンを連れていくから、ゲオルグくんは戸締りと
火の元の確認をお願いね」
「了解」
そんな短い事務的なやり取りのあと、なのははティグアンを抱き上げると
リビングを出て2階へと上がっていった。
一方ゲオルグはこたつのスイッチを切ってからリビングのガラス戸と
キッチンの脇にある裏口、そして玄関の施錠を確認すると、リビングの
明かりを消して2階へと上がっていった。
寝室へと向かう途中、"ヴィヴィオのへや"と書かれたプレートのかかった扉の前で
足を止めると、音をたてないようにそっとドアを開けてゲオルグは暗い部屋の中に
その身を滑り込ませた。
部屋の奥に置かれているベッドの脇まで歩いていくと、その上ですやすやと眠る
ヴィヴィオの寝顔を見下ろして優しげな笑みを浮かべて彼女の金色の髪を
ゆっくりと撫で始めた。
そして小さく"おやすみ"と声をかけるとゲオルグは入ってきたときと同じように
静かに部屋をあとにして、なのはが待つ寝室へと向かった。
寝室に入るとベビーベッドの柵に頬杖をついたなのはが慈愛に満ちた笑みを浮かべて
ティグアンの寝顔を見ている姿がゲオルグの目に飛び込んできた。
ゲオルグは気配を殺してなのはの背後に忍び寄ると、その背中に覆いかぶさるように
そっと抱きついた。
「きゃっ! って、ゲオルグくん?」
「お待たせ。寝るか?」
「そだね。 寝よっか」
ゲオルグに突然抱きつかれて驚きの声をあげるなのはであったが、
耳元でささやくゲオルグの声を聞いて、我が子を優しく見守る母の顔から
愛する男に抱かれるのを待ちかねたオンナの顔へと表情を変え、
ゲオルグの言葉に頷いた。
自分の背中から身を離して先にベッドに入ったゲオルグの後を追うように、
なのははいつもと同じゲオルグの右側にその身を滑り込ませた。
そしてゲオルグの右腕に抱きつくと潤んだ瞳で彼の顔を見つめた。
「ん? どうかしたか?」
「ふふっ・・・どうもしないよ、ゲオルグくん」
「ふーん・・・」
妖艶な顔で笑うなのはの心中を知ってか知らずか、ゲオルグはなのはの言葉に
鼻を鳴らして応じる。
「じゃあ、おやすみ」
そう言ってゲオルグが目を閉じると、なのはは不満げに唇をとがらせて
低いうなり声を上げながら、ゲオルグの方に恨
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