暁 〜小説投稿サイト〜
シュミットさんちの日常
シュミットさんちのおおみそか
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ヴィオは唇をとがらせて
不満げな顔をつくりつつ、ゆっくりと頷いた。

「まあ、もうちょっと大きくなれば平気になるし、わさびの良さも
 判るようになるさ。 それまで我慢だな」

続いてゲオルグのかけた慰めの言葉にもヴィヴィオは頷くと、
不満げな表情をしまいこんで海老の天ぷらに箸を伸ばした。

その様子を見ながらなのはとゲオルグはお互いに笑い合うと
彼らも夕食を再開し始めるのだった。





夕食も終わり時刻が午後10時近くになると、さすがにヴィヴィオは眠そうに
あくびをし始め、それからすぐに自分の部屋で眠りについた。

そしてリビングには静かな寝息をたてるティグアンとこたつに並んで座りテレビを
ぼんやりと見ている夫妻が残された。

「みかん食べる?」

「ん、もらう」

彼の右腕に抱きつくようにしてもたれかかってくるなのはの問いかけに
ゲオルグはテレビの方を向いたまま返事を返した。
すると、肩にもたれかかるなのはの重みが少し軽くなり、右腕に巻きついていた
なのはの両腕も解かれた。
ほどなくみかんの皮をむく音とともに柑橘系の甘酸っぱいにおいが漂ってくる。

「ひゃい、どうぞ」

「うん」

若干おかしな発音であったなのはの言葉を気にすることもなく、ゲオルグは隣に座る
なのはの方に顔を向けた。

そして、自分の顔を見上げるなのはの姿を見てゲオルグは苦笑を浮かべた。
そこにはみかんを一粒咥えて甘えるようにゲオルグを見上げるなのはの姿があった。

ゲオルグはしばし考えてからニヤリと笑うと、なのはが唇に挟んで咥えていた
みかんの粒に手を伸ばして、素早く抜き取って口の中に放りこんだ。

数度咀嚼してみかんを飲み込んだゲオルグは悪戯っ子のような意地悪げな顔を
なのはに向けると、"ごちそうさま"とこれまたわざとらしい口調で言った。

その言葉になのはは"不服です"というのがありありと伝わってくるような
頬を膨らませた顔でテレビの方に向き直った。

「・・・ゲオルグくんのいじわる」

そしてなのはは横目で恨めしげな目線をゲオルグに向けながら呟く。

対してゲオルグは素知らぬ顔でなのはが皮をむいたみかんの残りを平らげると
皮をゴミ箱に向かって放り投げてからなのはの肩に手を乗せた。

「ねえねえ、そこのかわいい奥さん」

ゲオルグが声をかけるとなのはは頬を膨らませたままゲオルグの方に顔を向ける。
次の瞬間、彼女の唇はゲオルグのそれと触れあっていた。
驚いた彼女がゲオルグの肩を押すよりも早く、ゲオルグの両腕は彼女の背中に
まわされ、同時に彼女の口内にゲオルグの舌が侵入してくる。
そこでなのはは抵抗することをやめた。

時間にして1分ほど、夫妻は互いの舌
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