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シュミットさんちの日常
シュミットさんちのおおみそか
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が、薬味をつゆの中に入れている両親の姿を見て彼女は箸を止めた。
そして隣に座る母親の袖を引く。

「ん? どうしたの、ヴィヴィオ?」

なのはがヴィヴィオの方を振り返るとヴィヴィオは不思議そうな表情を浮かべて
なのはのつゆが入った器を指差していた。

「ねえ、ママ。 さっき入れてたのってなに?」

「さっき入れてたのって・・・ああ、これのこと?」

なのはが刻んだネギやすり下ろしたわさびの乗った皿をヴィヴィオの前に
差し出すと、ヴィヴィオはこくんと頷いた。

「えっとね、これは薬味っていってそれぞれの人の好みに合わせて
 おつゆに少しだけ入れるものなの。 ヴィヴィオも入れてみる?」

なのはの問いかけに対してヴィヴィオがもう一度こくんと頷いて応じると
なのはは”じゃあ入れてあげるね”と、ヴィヴィオのつゆに少しネギを入れ、
薬味の乗った皿を置いた。

「・・・コレは?」

だが、皿の上にネギとは別にもう一つ乗っている緑色のものに
なのはの箸が触れなかったことに疑問を覚え、ヴィヴィオは首をかしげつつ
母親の顔を見上げて尋ねる。

「あー、わさび? これ、かなり辛いけど・・・大丈夫そう?」

「ん〜、食べたことないからわかんない・・・」

「だよね〜。じゃあ、少しだけ食べてみよっか。
 それでおつゆに入れるか決めようよ」

ヴィヴィオは母の提案に頷くと、恐る恐る皿の上に鶯色の山を作るわさびに
箸をのばした。
自分の箸先にほんの少しだけのったわさびをじっと見つめると、
意を決したように目をつぶって、それを口の中に入れた。

経過すること数秒・・・。

「んんん〜っ!!!」

ヴィヴィオは左右で色の違う瞳を見開き、両手で自分の鼻を押さえながら
苦悶の表情を浮かべて、悲鳴ともうなりともつかない声を上げた。
その双眸にはうっすらと涙が浮かんでいる。

「か、からいよ〜!! おみずっ!!」

「はい、大丈夫?」

なのはがヴィヴィオに水の入ったグラスを差し出すと、
ヴィヴィオはその中身を一気に呷った。
そのせいで水が気管に入ったのか、ヴィヴィオは派手に咳きこんだ。

「おいおい、大丈夫か?」

咳きこむヴィヴィオの背中をゆっくりと撫でながら、ゲオルグが声をかける。
しばらくして咳が収まると、ヴィヴィオは手で涙をぬぐってゲオルグの方に
顔を向けた。

「ありがと、パパ」

「どういたしまして。 ほら、これで鼻をかみな」

ゲオルグが微笑みながらちり紙を手渡すと、ヴィヴィオは"ずびー"と音を立てて
垂れかかっていた鼻水をかむ。

「ヴィヴィオにはわさびは早かったみたいだね」

「うん・・・」

苦笑いとともになのはが声をかけると、ヴィ
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