シュミットさんちのおおみそか
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応を見て楽しんでいたヴィヴィオの頭にポンと
誰かが触れた。
その感触に驚いた彼女が勢いよく振り向くと、そばの入った大きなざるを持った
ゲオルグが彼女を見下ろしていた。
「だめだぞ、ティグアンにイタズラしたら」
「イタズラなんかしてないもん」
ニヤニヤと笑いながら声を掛けてきたゲオルグに向かって、
ぷくっと頬を膨らませたヴィヴィオが不満げな声をあげる。
「わかったわかった。 それより、夕飯ができたから食べような」
ぽんぽんと2回、ヴィヴィオの頭に優しく手を置いたゲオルグが踵を返して
こたつの上にざるを置こうとした瞬間、ヴィヴィオは自分の頭の上にあった
ゲオルグの手を掴んだ。
「あやまって!」
こたつの上にざるを置いたゲオルグはヴィヴィオの方に振り返って
"はぁ?"とわけが判らないという顔をする。
対してヴィヴィオは鋭い目で父の顔を見上げていた。
「パパはヴィヴィオにいつも"悪いことをしたら謝りなさい"って言うでしょ?
今、パパはヴィヴィオに悪いことをしたんだから謝って!」
ヴィヴィオが声を大にして言った言葉に、ゲオルグは得心がいったというように
大きくうなずくと、ヴィヴィオの前に屈みこんでヴィヴィオの目をじっと見た。
「確かにヴィヴィオの言うとおりだな。 パパが悪かったよ、ゴメンな」
そう言ってゲオルグがヴィヴィオの頭をゆっくりとなでると
ヴィヴィオはニコッと笑って頷いた。
「さあ、できたよ! って、2人とも何してるの?」
そのとき、3人分の天ぷらを乗せた大きなかごを持って現れたなのはが
2人の様子を見て不思議そうに首を傾げながら尋ねる。
「んとね、今ヴィヴィオがパパにおせっきょうしてたの」
ヴィヴィオが自慢げな笑みを浮かべ、胸を張って母に向かって答えると
こたつの上にかごを置いたなのはが、驚きで目を見開きながらヴィヴィオを見る。
「ヴィヴィオが? 逆じゃなくて?」
そう尋ねながら彼女がゲオルグの方に目を向けると、
ゲオルグは苦笑しながら頷いていた。
「何があったかは後で話してやるけど、ヴィヴィオが言ってることは
間違ってないよ」
「そうなの・・・。ま、いいや。 それより2人とも食べよ!」
なのははそう言ってつゆの入った器と箸をゲオルグとヴィヴィオ、
そして自分自身の前に並べると、こたつの中にすっぽりと収まった。
「よしっ、じゃあ食べようか!」
ゲオルグがにっこりと笑ってもう一度ヴィヴィオの頭を撫でながら声をかけると
ヴィヴィオも満面の笑みとともに”うんっ!”と頷いてこたつの中に収まる。
3人は揃って”いただきます!”と声をあげ、ヴィヴィオは真っ先にそばに
箸を伸ばした。
だ
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