シュミットさんちのおおみそか
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「んとね、ヴィヴィオにリビングの窓ふきをお願いしたんだけど、
ヴィヴィオじゃ上の方は届かないから手伝ってあげてほしいの」
「了解しました、1尉どの」
おどけた様子で崩した敬礼をしながらゲオルグがなのはに返事をすると、
なのははクスッと笑ってゲオルグの顔を上目づかいに見上げた。
「お願いしますね、シュミット2佐」
そしてゲオルグとなのはお互いの顔を見合わせ声を上げて笑った。
それから1時間ほどかけてシュミット家の大掃除は終わり、
リビングでのんびりお茶を飲みながらシュミット一家は家族団らんの時を過ごした。
途中、リビングの床に敷かれた布団の上で眠っていたティグアンが目を覚まして
泣きだし、なのはが授乳するといったこともありつつ、年の瀬の午後は過ぎていく。
「大変だったねぇ、大掃除」
秋まではソファに合わせた洒落たテーブルが置かれていた場所に、
現在鎮座しているのは日本の冬の風物詩、こたつである。
なのははこたつにすっぽりと収まって緑茶を啜りながらしみじみと言う。
この家を新築するにあたってなのはがもっとも強く主張したのが
この、リビングへのこたつの設置だった。
床に直接座るという生活様式に抵抗のあったゲオルグであったが、
掘りごたつにすることでなんとかなのはが説き伏せたのである。
「だなぁ〜。さすがに疲れたよ」
だが、いざこたつが設置されるとゲオルグもその魅力のとりこになってしまった。
その証拠にほっこりした表情でお茶を啜りながら、ゲオルグは大きく伸びをする。
「でも、ヴィヴィオは楽しかったよ。 お部屋もきれいになって気持ちいいし」
それはヴィヴィオも同じようで、みかんを食べながらニコニコと笑って
両親の顔を順番に見る。
「そうだね〜。 家じゅうきれいになってよかったよね〜」
なのはは隣に座るヴィヴィオに向かって優しく笑いかけると
その金色の髪に覆われた頭をゆっくりと撫でた。
ヴィヴィオはなのはに撫でられるのをくすぐったそうに身をすくめるが
その目は気持ち良さそうに細められていた。
「あっ、そろそろお夕飯の準備をしなきゃ・・・」
やがて日も傾き、なのはは夕食の準備をするべくこたつから・・・
「なのは、夕飯はつくらないのか?」
「う〜ん。そうなんだけどねぇ・・・」
・・・出なかった。
ジト目を向けるゲオルグの台詞に対して、なのははバツが悪そうな表情で
頬をかきながら応じる。
「だって、このぬくぬく感を手放さないといけないんだよ。
腰が重くなっても仕方ないと思うの」
「それは判るけどなぁ。でも、夕飯はどうするんだよ?」
「えっと・・・ゲオルグくんが作るっていうのは、ダ
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