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シュミットさんちの日常
シュミットさんちのおおみそか
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前書き [1] 最後

暮れもいよいよ押し迫った12月31日、大晦日である。
クラナガン郊外の閑静な住宅街の一角に建つシュミット邸では、
家族総出での大掃除が行われていた。

「ママー! おトイレとお風呂の掃除は終わったよー!」

「ありがとー! じゃあ、次はリビングの窓ふきをお願いね!」

「はーい!!」

シュミット家の長女であるヴィヴィオはタオルで手を拭きながらリビングに
入ってくると、キッチンに向かって大きな声で呼びかける。
するとキッチンからは彼女の母親であるなのはから次の作業についての指示が下り、
ヴィヴィオは了解した旨の返事を返してからリビングと庭に張り出した
ウッドデッキを隔てるガラス戸の拭き掃除に必要な道具を取りに行くべく
再びリビングを後にしようとしていた。

彼女がリビングと廊下を隔てる扉をくぐろうとしたとき、ちょうど廊下の方から
リビングに入ろうとしていたゲオルグと鉢合わせする。

「おっ!・・・とぉ」

思わずたたらを踏んで立ち止まるゲオルグとヴィヴィオがお互いの顔を見合わせる。

「あっ、パパ。 ごめんなさい」

「ううん、大丈夫だよ。 ヴィヴィオの方こそ大丈夫か?」

「うん、平気だよ」

しゃがみ込んで心配そうにヴィヴィオの顔を覗き込むゲオルグに対して、
ヴィヴィオはにっこり笑って応じる。

「そりゃよかった。 お互い気をつけような」

「うんっ!」

ゲオルグがヴィヴィオの頭の上に手を置きながら声を掛けると、
ヴィヴィオは大きく頷いた。
そしてゲオルグは立ち上がり、窓ふきの道具を取りに行くヴィヴィオを
先に通してからキッチンへと向かう。

「おーい、なのは?」

ゲオルグがキッチンの中に顔を出しながらなのはに声をかけると、
換気扇のフードの掃除をしていたなのはがその手を止めてゲオルグの方を振り返る。

「どうしたの?」

「2階の掃除は終わったけど、他にやることあるか?」

「ふぇ?早いね。 トイレもやった?」

「もちろん」

ゲオルグに2階の掃除全てを割り当てていたシュミット家大掃除の指揮官たる
なのはにはゲオルグの報告が意外だったようで、目を丸くして驚きの声をあげる。

「うーん、早すぎない? ちょっとチェックさせてもらうね」

そして疑わしげな眼をゲオルグに向けると両手に付けていたゴム手袋を外して
キッチンを出ていく。
階段を上がって2階にたどり着いたなのはは、どこから見て回るか思案しつつ
廊下の掃除が行き届いているかをチェックしはじめる。

(えーっと、階段の窓ガラスはちゃんと拭いてあるし床もすみっこまで綺麗。
 あとは・・・・・)

なのはが廊下の突き当たりにある寝室に向けて足を踏み出したとき、

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