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少女の加護
6部分:第六章
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丈夫じゃねえか」 
 アイルランドはイギリスと古くから因縁がある。仇敵同士と言っても過言ではない。
「イングランドじゃねえんだったらよ」
「まあそうですけれど」
「イギリス人はイギリス人の女神に運を任せるんだな」
 灰色の男はこの中にイギリス人もいることを承知のうえであえてこう言葉を出した。
「クイーン=エリザベスなりクイーン=ビクトリアなりな」
「両方共戦場には出ていませんけれど」
「そうか、じゃあ女装したネルソンだな」
「気持ち悪いだけですよ、それ」
「じゃあチアガールで我慢しておくんだな」
 灰色の男の言葉は冗談にしてはやけに下手なものであった。正直誰も笑ってはいない。
「俺達はジャンヌ=ダルクだ」
「いや、もう一人いるぞ」
「いたか!?」
 口髭の男の言葉に声と顔を向けさせた。
「ワルキューレがな」
「ああ、そうだったな」
 灰色の男はそれを聞いてまた不敵な笑みを浮かべた。
「いたな、とびっきりの女神様が」
「彼女がいるなら恐れることはない」
「ああ」
 彼等だけでなく他のパイロット達もその言葉に励まされる様に応えた。
「来たぜ、その女神が」
「ああ」
「彼女がいればな」
 エリザベートがやって来た。パイロット達は彼女の姿を認めてそれぞれ言う。
「生き残れる」
「そして戦い抜ける」
「行くぜ、こっちには勝利の女神がついているんだ」
 灰色の男がここで言った。今度は上手い言葉だった。
「絶対生きて帰るぜ」
「よし」
「総員出撃」
 いいところで放送が入った。


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