5部分:第五章
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進する」
「まことですか!?」
「義勇軍相手に」
「この状況で冗談を言えると思うか?」
クレールは驚く彼等に逆にそう問うた。
「今の我々の置かれた状況で」
「いえ」
「やはりそれは」
参謀達はその言葉に首を横に振った。今彼等は圧倒的な数の敵軍と傷ついた自軍という状況なのだ。こうした状況では。冗談なぞ言える筈もない。
「安心しろ、少し戦うだけだ」
「少しですか」
「時間だけはな」
クレールはその顔に不敵な笑みを浮かべていた。
「時間は少しだがその攻撃は」
「この上なく激しく」
「一度の攻撃で全てをぶつける」
彼は言い切った。
「そして。退く」
「一撃離脱というわけですか」
「それでいいのだ」
「大胆ですな」
部下達はその豪胆に感嘆というよりは呆れを見せた。
「五倍以上の敵を前にして」
「しかもあの義勇軍に向かわれるとは」
「では正規軍に向かうか?」
彼は部下達の言葉に逆に問い返した。
「そうすればかえって危険なことになるぞ。敵は四倍だ」
「四倍」
まずその物量差に言葉を失う。
「四倍の敵に立ち向かうわけにもいくまい」
「はい」
「確かに」
「我々は死にに行くのではない。生きなければならないのだからな」
そうなのであった。彼等は生きなければならない。生き残ってまた戦わなくてはならない。クレールが言っているのはそれであるのだ。彼等は生きる為に戦っているのだ。
「わかったな」
「わかりました」
「では。強敵に一撃を与えに行きますか」
「そうだ。全速で向かう」
行くからには躊躇は無用である。
「そして倒す」
「第四七二艦隊は今安全圏にまで入りました」
「よし」
その報告が大きな励みになる。
「では後は彼等を足止めするだけだ」
「攻撃を加え」
「その足を止める」
その為の攻撃であった。今ここで退いてはむざむざと追撃を受けてしまう。それも読んでいた。全て読んだうえでの攻撃であるのだ。
「全軍全速」
クレールの指示が下る。
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