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少女の加護
4部分:第四章
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を決定した。彼は困っている味方を見捨てるような男ではなかったのだ。
「まずは味方を助け出してからここを去るぞ」
「無論です」
 そして周りにいる者達もまた。それは同じであった。
「だからこそ我々は」
「エウロパ軍なのですから」
「エウロパ軍の誇りにかけてだ」
 エウロパ軍の軍規にもあるのだ。味方を見捨てることがないようにと。だが彼等は。軍規以前にそれを決断していたのである。軍人というよりも騎士としてだ。
「まず第四七二艦隊を逃がし」
「はい」
「それからこのトリトンを退く」
「わかりました」
「それでは」
「敵艦隊はどれだけだ」
「四個艦隊です」
「そうか、数は多いな」
 それを聞いても何ら臆してはいない。
「そして義勇軍も一個艦隊が近付いている」
「普通に戦っては勝ち目はありませんな」
「何、一戦を交えるだけだ」
 クレールはもう覚悟を決めている。それで怖気づくということはなかった。
「それだけでいい」
 そのうえで指示を下した。
「友軍を救う」
 それだけであった。だがそれだけで充分だった。それが今の彼等の目的の全てだったからだ。今第一七五艦隊は大きく前に出た。そして一旦第四七二艦隊と連絡を取った。
「最高指揮官は誰だ?」
「私です」
 出て来たのは少将の軍服を着た若い男であった。
「卿か」
「はい、第四七二艦隊司令官代理オットー=フォン=リッペンドロップ、階級は少将です」
「そうか」
「今は私が艦隊の責任者であります」
 普通艦隊司令は中将以上が務めることになっている。それなのに少将が最高指揮官になっているとは。それだけでこの艦隊がどういった状況に置かれているかがよくわかった。


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