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【IS】百万回負けても、諦めない。
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決して悪いことではない。いずれ彼が成長すれば打鉄の性能では物足りなくなる日も来るだろうし、そもそも貰って損することなどありはしない。自分専用のISで思う存分鍛錬できるのだ。いいことではないか。

本人には伝えていないが、彼の機動は挑戦初日と比べれば驚くほど上達してはいる。武器の扱いもかなり上達した。楯無的な理想は、この辺で専用機をポンと渡してその辺の代表候補生と戦わせる。そして「ほら君はこんなに強くなってるんだよ」と伝えて自信を持たせ、さらに成長を促す……といった所か。
対戦アクションゲームはやればやるほど上達する。相手とのギリギリの戦いの中で勝利を拾い、それを糧にしていく。ISもそれと同じではないか?勝ち目のない戦いにひたすら打ち込む彼は順序を間違えている気がした。

「もっと効率いいパワーアップの方法があるんだけどなー……」

そうすれば本当に自分に勝てるかもしれないのに、と楯無は勿体無いものを見るような目線で彼の背中を見送った。



 = =



ヒャッハー!IS整備室だぁ!!
食堂で貰ったお茶やおにぎりを持ち込んで食事をしながら今日のデータを洗い直す。

うーん、やっぱりあのミステリアスレイディというISは機動性重視で装甲はスッカスカみたいだ。だからといって迂闊に近づけばあのミストルティンというリーチの長い槍でブッ刺される。それでもだめならアクアナノマシンを使ってボッカン。長距離でも後れを取らないように槍には機関砲までついている。

一見して防御が低そうに見えるが、それにつられて不用意に近づくとあっさり餌食になる。当たらなければ勝てると言うより、当たらずに勝つ方法を模索したISと言えるだろう。
今日ショットガンやサブマシンガンを使ったのは、命中時にバリアエネルギーをどれほど消費しているかを確定させるためだ。……うん、データは揃った。これでどれほどのダメージを与えれば試合に勝てるかを数値化できる。

よしよし……データが揃ってきたぞ。

機動で翻弄されるのはまぁしょうがないが、逆にモンドグロッソや彼女の動きのデータを解析すれば逆算的に敵に照準を絞らせにくい動きも一種のリズムとして見えてくる。今日も何度かこっそり試してみたが、意外に猿真似でも効果があることは分かった。後はその機動を保持するためにいくらか打鉄ちゃんの装甲を軽量化する必要がある。

アクアナノマシン対策、オッケー。
ナノマシンを使用する傾向と湿度センサーの積み込み、オッケー。
取るべき機動と狙うべきタイミング、必要な攻撃量と火力。
条件を確実にするための追加装備。

流石に何十回も戦えば色々と見えてくるものがある。危惧する事態としては、次から彼女が大きく戦法やISの仕様を変更してくることだが、それは多分ないだろう。


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