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少女の加護
2部分:第二章
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「ニーベルングよりもか?」
「いえ」
 エウロパで最大の要塞だった場所である。それよりも上の防衛施設なぞエウロパにはない。だがそのニーベルングですら連合軍に何なく陥落させられているのである。
「ではわかるな」
「はい」 
 若い男は無念を込めて頷いた。
「過信は出来ない」
「絶望的ですね、本当に」
「何度考えてもな。それは変わらない」
「今度もどうなるやら」
「だがこの艦にいることに賭けてみるか」
「ジャンヌ=ダルクにですか?」
「そうだ、フランスを救ったオルレアンの少女」
 この時代においてもフランスの英雄である。この艦隊はフランス出身者が多い為名付けられたのである。
「その加護に賭けてみるか」
「そうですね」 
 若い男が口髭の男の言葉に頷いた。
「ここは聖女の加護に」
「うむ」
「それに俺達にはワルキューレも一人いますしね」
「彼女か」
「そう、彼女ですよ」
 灰色の目がようやく希望を見出して明るく光る。
「やってくれることを期待しましょうや」
「そうだな、今度の戦いは」
「オルレアンの少女とワルキューレの加護を信じて」
「やりましょう」
 三人はそう言い合って頷き合った。とにかく今は誰の加護でもいいから欲しかった。そうした状況であったのだ。
 今そのワルキューレは艦長室において艦長と話をしていた。小柄な金髪碧眼の美女であった。


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