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少女の加護
2部分:第二章
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い男は彼にも答えた。
「ありませんね、僕が覚えている限りは」
「そうだよな」
「連戦連敗だ、まさにね」
「ええ」
「お話にもならねえな」
 灰色の目の男は大きく溜息を吐き出した。
「このままじゃオリンポスまで攻め落とされちまわあ」
「その可能性は大きいな」
 口髭の男の言葉は決して悲観的なものではなかった。実際に連合軍の勢いはかなりのものでありそれを止めることができていないからである。それではどうしようもなかった。
「どうしたものかね」
 灰色の男はあらためて言った。
「こんなお話にもならねえ状況で」
「何とかするしかないですけれどね」
「その何とかすらできはしねえ状況だ」
 若い男に返す言葉に実にお寒い状況だ。
「今はな」
「とりあえずは今度の戦いを乗り切るしかないが」
「できるのかね、果たして」
 それすらも保障出来ない。
「二割もなくなった艦隊で圧倒的な敵軍を相手にしてよ」
「数はそれ程変わらないみたいですよ、今回は」
「相手が義勇軍でも同じこと言えるか?」
「いえ」
 言える筈がなかった。義勇軍の圧倒的な強さは彼等が最もよくわかっている。本人達より敵の方が実際の強さはよくわかるものなのだ。
「しかもその後ろには」
「あの正規軍が山みてえに来るんだろうな、いつも通りよ」
「そうですね」
「数は向こうの方が圧倒的に上なんだ」
 彼は言った。
「装備も物も何もかもな。こっちが連中に勝ってるもん何だ?」
「実戦経験とスピードですね」
「その実戦経験ある奴もどんどん死んでいる」
 戦死者は鰻上りだ。パイロットに至っては連合のパイロットが一機撃墜される間にエウロパ軍は二十機は撃墜されている。数だけでなく装備や電子性能で大きく差が開けられている結果である。しかも連合軍の機体はどれも生存能力が極めて高く中々撃墜出来ないのだ。
 全体として連合軍とエウロパ軍の損害の差はあまりもの状態になっている。正規軍と義勇軍を合せて一とするとエウロパ軍は十五だ。しかも正規軍と義勇軍の損害差は九倍にも達する。当然義勇軍が九で正規軍が一だ。結果として連合軍正規軍はまるで損害を受けていないのである。
「速度つってもいつもいつもこっちが先に見つかるしな」
「ええ」
 偵察能力も哨戒能力も違う。とにかく馬鹿げた差なのだ。
「これで戦っても。今度だってどうすれば」
「しかし戦わないわけにもいかないだろう」
「だから今ここで愚痴ってるんですよ」
 どうやら階級は口髭の男がここでは最上位らしい。灰色の目の男の態度も礼節のあるものだった。
「お話にもならない状況ですから」
「アルテミスに入れば違いますかね」
「どうかな」
 口髭の男は若い男に対しても同じような態度であった。
「あそこは防衛ラインが確かですから
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