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少女の加護
13部分:第十三章
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「オレルアンの少女が私達を守ってくれたのだから」
「彼女が」
「そうよ。そして」
 今度はエリザベートの顔を見ていた。
「聞いてるわよ。敵のタイガーキャット部隊を翻弄したそうね」
「いえ、それは」
「ザーヒダン少佐のものも合わせて十一機。よくやったわね」
「有り難うございます」
 顔を少し赤らめさせてこくりと頷く。
「そのおかげで我がジャンヌ=ダルクのエインヘリャル隊は助かったわ。そちらはワルキューレの加護ね」
「私はワルキューレでは」
「いえ、貴女はワルキューレよ」
 クレスパンは謙虚になろうとするのを許さなかった。
「だって。オレルアンの少女と共に私達を救ってくれたから」
「はあ」
「これからも。宜しくね」
「その言葉、謹んでお受け致します」
 エリザベートは畏まってそう述べた。
「エウロパの為にも」
「そう、そして我が軍の為にもね。これからも宜しく」
「まだ戦いは続きますが」
 エリザベートは述べる。
「戦いましょう、最後の最後まで」
「少女の加護を信じてね」
「はい、オレルアンの少女と共に」
 二人は誓い合う。そしてトリトンを去りアルテミスへと向かう。アルテミスの戦いは連合軍とエウロパ軍の激戦の一つとなった。この時も第一七五艦隊は果敢な攻撃を仕掛け武勲を挙げている。その中にはジャンヌ=ダルク、そしてエインヘリャルを駆るワルキューレ、エリザベート=デア=アルプの姿もあったという。連合とエウロパのかってない規模の戦い、苦戦を続けていたエウロパ軍の中の一つの話であった。


少女の加護   完


                   2006・9・11




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