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少女の加護
11部分:第十一章
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第十一章

 まずはザーヒダンのタイガーキャットが仕掛けてきた。派手にビームバルカンを放つ。
「まずは一撃だ!」
 彼は攻撃を繰り出しながら言う。
「この程度、かわせなくてはエースとは名乗れまい!」
「その通り!」
 エリザベートもそれに返す。
「それはこちらの台詞でもある!ザーヒダン少佐、覚悟!」
「むっ!」
 エリザベートが反撃に転じる。派手な旋回を見せる。
「ほう」
 ザーヒダンはその旋回を見て呟く。
「まるで妖精の舞いだな。実に美しい」
 華麗に右に左に旋回しながら迫る。それを前にしてもまだ冷静さを保っていた。
「だが。それはこちらもだ」
「むっ!?」
 ザーヒダンのタイガーキャットもまた動きはじめた。こちらは一直線の動きであった。
「そちらが妖精の舞いならば」
 彼は自機を操りながら言う。
「こちらは稲妻だ。何も攻撃は舞うだけではない」
「直線か」
「そうだ。かって多くの戦いで培ってきたこの攻撃、かわせるか」
 そのまま突っ込みながらエリザベートを見据える。
「ロックオン、完了」
「来る!」
 エインヘリャルの中で警報音が鳴り響く。それが何を意味しているのか、言うまでもない。
「どれだけ動こうとも。的は一つ」
 ザーヒダンは全速力で突っ込みながら言う。妖精の舞いの動きを完全に読んだうえでの一直線の動きであるのだ。
「ならばそれを撃つだけ」
「まずい!」
 エリザベートは咄嗟に動いた。その時彼女は無意識のうちに自分でも信じられない動きを見せた。
「ムウッ!」
 ザーヒダンはビームバルカンのスイッチを押す。押された瞬間にもう無数のビームが放たれる。だがそれは。目の前に突如現われた数機のエインヘリャルによりあえなくすり抜けられただけであった。
「馬鹿な、分かれた!?」
 彼は目の前に現われたその数機のエインヘリャルを見て目を見開かせる。
「だ、だが」
 モニターを見ればそこに映っているのは一機だけだ。目の錯覚である。
「だがこれは・・・・・・」
 エリザベートは自機を咄嗟に左右に素早く動かしたのだ。それにより残像が出来ていたのである。
 無論それだけの動きである。ロックオンは強制的にはずされ攻撃は空しく失敗した。全てはエリザベートの咄嗟の動きの為であったのだ。
「これ程までの動きを見せるとはな」
「かわせたみたいね」
 エリザベートは自身がまだ生き残っているのを確認してまずは安堵の息を吐き出した。
「運がいいと言うべきかしら」
「いや、これは実力だ」
 ザーヒダンはまた彼女に通信を入れてきた。
「実力!?」
「はじめて見せてもらった。分身というものをな」
 彼は言う。
「サハラでも連合でも。見たのははじめてだ」
「分身・・・・・・私が」
「どうやら
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