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ルドガーinD×D (改)
三十四話:どちらかを選ぶことは大変だ
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ける嫌な力だと言う。一見、正反対な答えに思えるがどちらも同じことであり、違う事でもある。
何を言っているのかと思うかもしれないがこれが力の本質なんだからしょうがない。
俺はこちらを見つめて来る二人をゆっくりと見回してから口を開く。


「お前達の答えはどっちも正解で、どっちも間違いだな」

「どういう意味だよ?」

「どんな力も常に両刃だ……そして、そうと知っている者だけがそれを振るう資格を持つ」


俺は目を瞑ってガイアスの言葉を思い出しながら二人に伝える。この言葉は本当に深いよな。
流石はガイアスだって感じの言葉だ。俺も言われた時はこの言葉の意味を理解しているつもりだったけど……いざ、自分の“大切な者”を壊す瞬間になるまで本当の意味では理解出来ていなかったんだよな。

その時までは理解しているつもりだっただけだ。自分の罪を、業を……兄さんの命を橋にすると決めたあの瞬間まで。あの時、初めて気づいたんだ。今まで自分が守る為と言ってやってきたことは全て―――他人を傷つける行為だったってことに。


「つまり、力は誰かを守れるという反面、誰かを傷つけるものでもあるってことだ。その両方を理解して初めて力を振るう資格が持てるんだ。イッセーの言う力は誰かを守れると同時に誰かを傷つける力だ。ギャスパーの言う力は誰かを傷つけると同時に誰かを守れる力でもあるんだ」

「……僕が…誰かを守れるんですか?」

「ああ……正し、同時に誰かを傷つけないといけないけどな」

「本当にそうなのかよ……誰も傷つけずに守れないのかよ?」


俺の力についての話にずっとただ人を傷つけるだけだと思っていたギャスパーは少し驚いた顔で俺を見つめ、ずっと誰かを守れる力だと思っていたイッセーはショックを受けた顔で俺を見つめて来る。少し酷なことを言っているのかもしれないけど、いつかは覚悟しないと、選択しないといけないことなんだ。だからこそ、俺は口を開く。


「例えばだ……お前が部長を守る為に部長を殺しに来る黒歌を殺したとしよう。その場合お前は部長を守ったと言える。でも、同時に黒歌を殺し、俺から大切な人を奪ったことになる。お前が傷つける事を恐れて黒歌を殺さなければ部長は殺されてお前は部長を守れなかったことになる……守れば人を傷つけ、守らねば大切な人が傷つく…どんな結果になろうと、どちらか片方を必ず選ばなければならないんだ」


自分達が相手に危害を加える気が無くても相手が向かって来れば当然相手をしなければならない。相手をしなければ大切な者を守れないのだから。逆に自分達が危害を加える気で相手に向かえば相手がこちらに危害を加える気が無かったとしても当然、反抗してくるだろう。そうしなければ同じように大切な者を守れないのだから。

守ることを
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