番外20話『アッパーヤードに触れてみて』
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るその土地で、ハントとナミが不思議そうにその土地を見つめていた。
「それにこの木の大きさ……樹齢何年の木なの、これ全部」
あくまでもウェイバーから島を観察するナミは、その島そのものに対してどこか不信感を抱いているのかもしれない。決してその土地に上陸を果たそうとはせずに遠巻きからそれらを見つめている。
「てっぺんが見えないなぁ」
対照的に島に足を踏み入れているのがハントだ。
地面を触って見たり、大木を触って見たりして、本当にハント自身青い海で見てきたそれと同じものかを確認している。
「どう、ハント?」
「……うーん。違いがあるとは思えない、かな?」
元々知識が豊富とはいえず、頭の回転も早い方とは言えないハントが地面を触っただけでそれらのすべてを理解できるはずがない。首をひねって、少なくとも自分よりは賢いであろうナミに見てもらおうとその地面の砂をナミに手渡そうと歩き出そうとして「ん?」と声を漏らして足を止めた。
いきなり動きを止めたハントの動きに首を傾げたナミだが、彼女もまたすぐにそれに気づいた。
「何かの音がしてるの?」
「……ああ。それに声も聞こえる」
「ど、どうしよう……なんだか気味悪いんだけど」
徐々に彼らに近づいてくるよくわからない音。
何が来るのかとわくわくした表情を見せるハントとは対照的にナミが不安そうな表情をにじませる。その表情の変化に、ハントはしっかりと気付いた。
「……先戻ってるか?」
「……う、うん、そうね」
ウェイバーのアクセルを踏もうとして、だがすぐにハントが動こうとしてないことに気づいて足を止めた。
「……ハントも一緒じゃないの?」
ハントも一緒に戻ってくれるものと考えていたらしいナミの不満げな言葉を受けて、ハントは困ったような笑みを浮かべる。
「いや、俺は挨拶でもして――」
問いに答えようとした時だった。気の抜けるようなどこか力の入っていない表情だったハントの表情が初めて鋭いそれになり、叫び声をあげていた。
「――ナミっ! 後ろ!!」
あまりに鋭い声に、ナミもそれに気づいた。
大地の中から聞こえてくる地響きのような音とはまた異質な音。まるで兵器が構えられたかのような、そんな鉄の音がナミの背後からかすかに届く。振り向けば、その鉄の音の主。空の海に来た時に麦わら一味を襲った牛の面をした男が大砲のような武器を身構えていた。
「なんでいきなりこんなっ!」
ほんの一瞬前まであったお気楽なデート気分から一転。気付けばナミが危険にさらされていることに、ハントは唇をかみしめつつもナミを庇おうと動こうとしたところで牛の面の男の大砲が射出されてしまった。
「まだ……ん?」
まだ間に合う。
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