番外20話『アッパーヤードに触れてみて』
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ったのか、というナミの質問。よく見ればナミが頬を引きつらせており、それが間近にいるハントにとってナミに叱られるかもしれないという恐怖の感情を刻み込ませていく。
「うん、そのごめん……ちょっと驚かせてみようと思っただけなんだけど、まさかウェイバーから弾き飛ばされるなんて思ってなくてさ」
言い訳がましく、とはいえナミに素直に頭を下げるハント。
――あぁ、また失敗したかなぁ……モックタウンでも失敗したし……こんなの多いなぁ俺。
そんなことを内心で思いつつも、とはいえ今のハントに出来ることといえば頭を下げることぐらいでそのままナミの返事を待つ。拳骨ぐらいで許してもらえたらいいんだけど、というハントの思いとは裏腹に、なかなかナミから返事がこない。
「……?」
ハントが疑問に思った時、ふと彼の眼前にナミの手が。
――これはビンタかっ!
慌てて歯を食いしばるが、次の瞬間にはナミの手が優しくハントの頬へと添えられていた。
「え?」
「……驚いたけど、何もなかったから許す」
「……え」
あまりにもナミらしからぬ言葉を受けて、最初はホッと安堵の色を見せていたハントの表情がただひたすらに困惑のそれへと変わっていく。
「いいのか?」
「うん」
ナミが笑顔で頷き、それからハントが左手で支えていたウェイバーへと体を移動させる。
「それより、私もう少しウェイバーを楽しみたいんだけど」
一旦言葉を切って、それからナミが笑って言う。
「ハントなら私の側で泳ぐのって簡単よね」
ナミの笑顔に、ハントもまた笑って「もちろん!」と嬉しそうに頷く。
「ほら、ちょっとそこまで競争ね!」
「ぶふっ!?」
言うや否やナミがウェイバーのアクセルを踏み込み、ちょうどウェイバーの真後ろにいたハントがその煽りをうける。
「なんかそれずるくね!?」
「きこえなーい」
「聞こえてるよねそれ!?」
ハントとナミが楽しそうに笑う。
空島に来て、計らずしも海で二人っきりというシチュエーションを、二人はただひたすらに楽しんでいた。
さて、ウェイバーに乗って遊ぶナミと素の能力でそれをはるかに凌駕する速度で海を泳ぎ回れるハントがこの白い海を遊びまわっているうちに、いつしかとある場所へとたどり着いていた……いや、たどり着いてしまっていた。
「でっ……かい……これ何?」
「いや、普通に島……なんじゃないか? さっきのおっちゃんたちがいたような」
「でも、見てハント……地面がある」
「……ほんとだ……どういうことだ?」
そこは絶対に足を踏み入れてはいけない聖域。神の住む土地『アッパーヤード』。
空島でおそらく唯一無二であろう大地があ
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