暁 〜小説投稿サイト〜
ONE PIECE《エピソードオブ・アンカー》
episode4
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ついて来い。2人に会わせてやる」


 そして、冒頭のシュールな対面に戻る。



 フィッシャー・タイガーの船の上で、アーロンに並ぶように立つアンカーの姿に驚きを隠せない2人がいる。アンカーは面倒そうに2人を見つめて溜め息を吐いた。もう見ることもないと思っていた同族の驚愕の顔に嫌気が差す。

 いくら身長が伸びたとはいえ、アーロンにも追い付いていない体では人間と思われても仕方ない。だが、嫌なものは嫌なのだ。


「タイの兄貴、ジンベエの兄貴。紹介するぜ、アンカーだ」

「どうも...」


 背の高い奴から見下されるのにももう慣れた。常に首を上げていないと顔が見れないのがツライとアンカーは思う。


「おい、アーロン。貴様...何のつもりだ?」


 ジンベエの言葉で、辺りの空気が張り詰めた。
 明らかな嫌悪。そして、アーロンに対する失念。ジンベエの冷ややかな視線がアンカーに突き刺さる。それにさえ慣れてしまったアンカーにとっては、「怯える」の「お」の字も皆無だった。


「貴様、種族主義者じゃなかったんかっ!」

「兄貴。それ以上は言わねえ方がいいぜ」

「こいつは見るからに人間じゃろう! こんな奴とこれから同じ船に乗るなんぞわしは認めんッ!!」


 アンカーはすぐ動いた。拳に力を入れ細い腕をしなやかに振り、無駄の無い一撃を見舞う。ちょうど、鳩尾の辺りに...。


「......っが......!?」


 予想もしない攻撃と威力に、ジンベエ悶絶。腹を抑えてうずくまる姿にアーロンの笑い声が上がった。
 人間扱いされたアンカーにとっても、腹を殴られたジンベエにとっても笑いごとではない。

 アンカーはくるりと向きを変え、再び拳に力を入れる。


「ワタシは生まれも育ちも魚人街の魚人だ。まだ人間扱いする気ならアンタも......って、またか! 掴むなって言ってんだろ! アーロン離せっ!!」

「それぐらいにしとけ。俺は、お前を2人に紹介に来ただけだ」


 それは、暴れるなという警告のようなもの。
 アーロンの低くなった声に、言い返そうとして開いた口をグッと閉じる。

 人間扱いされると見境が無くなるのはアンカーの悪いところだ。ジンベエはアーロンの忠告を無視したことが原因だが、兄弟分であることに変わりない。これ以上手を出せば、敵対することになるかもしれない。それだけは絶対に避けなければならなかった。


「アンカー。俺は、タイガーの兄貴について行くことにした。俺の仲間たちも一緒にな」

「......うん」

「お前も来い。そのために、ここに来たんだ」

「............うん」


 誰が何と言おうと、アーロンは自分
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ