episode4
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ついて来い。2人に会わせてやる」
そして、冒頭のシュールな対面に戻る。
フィッシャー・タイガーの船の上で、アーロンに並ぶように立つアンカーの姿に驚きを隠せない2人がいる。アンカーは面倒そうに2人を見つめて溜め息を吐いた。もう見ることもないと思っていた同族の驚愕の顔に嫌気が差す。
いくら身長が伸びたとはいえ、アーロンにも追い付いていない体では人間と思われても仕方ない。だが、嫌なものは嫌なのだ。
「タイの兄貴、ジンベエの兄貴。紹介するぜ、アンカーだ」
「どうも...」
背の高い奴から見下されるのにももう慣れた。常に首を上げていないと顔が見れないのがツライとアンカーは思う。
「おい、アーロン。貴様...何のつもりだ?」
ジンベエの言葉で、辺りの空気が張り詰めた。
明らかな嫌悪。そして、アーロンに対する失念。ジンベエの冷ややかな視線がアンカーに突き刺さる。それにさえ慣れてしまったアンカーにとっては、「怯える」の「お」の字も皆無だった。
「貴様、種族主義者じゃなかったんかっ!」
「兄貴。それ以上は言わねえ方がいいぜ」
「こいつは見るからに人間じゃろう! こんな奴とこれから同じ船に乗るなんぞわしは認めんッ!!」
アンカーはすぐ動いた。拳に力を入れ細い腕をしなやかに振り、無駄の無い一撃を見舞う。ちょうど、鳩尾の辺りに...。
「......っが......!?」
予想もしない攻撃と威力に、ジンベエ悶絶。腹を抑えてうずくまる姿にアーロンの笑い声が上がった。
人間扱いされたアンカーにとっても、腹を殴られたジンベエにとっても笑いごとではない。
アンカーはくるりと向きを変え、再び拳に力を入れる。
「ワタシは生まれも育ちも魚人街の魚人だ。まだ人間扱いする気ならアンタも......って、またか! 掴むなって言ってんだろ! アーロン離せっ!!」
「それぐらいにしとけ。俺は、お前を2人に紹介に来ただけだ」
それは、暴れるなという警告のようなもの。
アーロンの低くなった声に、言い返そうとして開いた口をグッと閉じる。
人間扱いされると見境が無くなるのはアンカーの悪いところだ。ジンベエはアーロンの忠告を無視したことが原因だが、兄弟分であることに変わりない。これ以上手を出せば、敵対することになるかもしれない。それだけは絶対に避けなければならなかった。
「アンカー。俺は、タイガーの兄貴について行くことにした。俺の仲間たちも一緒にな」
「......うん」
「お前も来い。そのために、ここに来たんだ」
「............うん」
誰が何と言おうと、アーロンは自分
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