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軍楽
3部分:第三章
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それではな」
「・・・・・・・・・」
 服部はもう何も言えなかった。森宮はその間に身体を燃え盛る家に向けそのうえで家の中に飛び込んだ。紅蓮の炎と化しているその家に。
 これが東京大空襲の時のことだった。これにより帝都は焦土と化した。あちこちに完全に炭化して男か女かさえわからない躯が転がり川の中では溺れて亡くなった人達が漂っている。地獄の後には無残な廃虚と死者の無念の声が木霊していた。服部はその中で沈んだ足取りで靖国神社に進んでいた。
「まさかあんなことするとは思いませんでしたよ」
「そうか」
「はい。本当に」
 隣にいる若い将校に対して話す。二人でその焼け落ちた道を進む。建物もどれもこれも焼けてしまい落ち果ててしまっていた。本当に何もなくなってしまっていた。

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