暁 〜小説投稿サイト〜
軍楽
1部分:第一章
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な」
 この時は昭和十九年だった。サイパンが陥落したのだ。
 それによりB−29が襲来することになった。この爆撃機の空爆により日本は焦土になろうとしていたのだ。
 それは今彼等がいる東京も同じであった。空襲は日増しに激しくなっていた。
「今日も来るかな」
「どうでしょうかね」
「最近昼に来ることが少なくなった」
 こう言う森宮だった。
「むしろ夜にな」
「しかも工業地帯だけを狙うわけじゃないですし」
「俺達が今いるこの場所にもな」
「はい。爆弾を落としてきます」
「厄介な奴等だ」
 森宮の言葉が忌々しげなものになった。
「全くな。次から次にな」
「全くです。ですが日本は」
「ああ、負けはしない」
 今度の言葉は確かでかつ強いものだった。

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