三十三話:事前に連絡位して欲しいよな
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
のジャケットに同じく黒のワンピース、スカート裾から覗く脚にはこれまた黒のストッキングと明らかに今日の為に用意したと思われるフォーマルないでたちであった。
白音はここで一端、目を逸らし黒板に目を戻す。正直に言えば、今までこういった機会があっても自分は家族が見に来ることがなかったのでこうして姉が見に来てくれるのは嬉しいと白音は思う。しかし、どうにもこの視線は恥ずかしい。当たり前と言えば当たり前だが保護者は自分の子供を中心に見る。黒歌もその例に漏れず、いや、むしろ他のどの保護者よりも気合を入れて白音を見ていた。彼女は彼女で今まで自分のせいで寂しい思いをさせてきたと思っているので白音から目を離すことが無い。
そのせいで白音は今まで感じたどのプレッシャーとも似つかないプレッシャーを感じていた。今まで授業参観を友達が恥ずかしいと言っていた理由が分からなかったが今日初めて白音はその理由を理解できたと頭の隅で思う。そして、再びチラリと後ろを見るとビデオカメラを構えた姉と目が合った。白音のプレッシャーが跳ね上がった。失敗できない、無様な姿を晒してしまえば一生記録として残ってしまうと思い、ソワソワとし始める。
一方の黒歌はそんな妹の様子に身悶えたいのを我慢して必死にカメラを回し続けていた。
黒歌の頭の中には妹が可愛いということしか入っていなかった。緊張してソワソワとしている様子など見る側からすれば、ただ、ただ、可愛いのだ。帰ったらこれをルドガーと一緒に見て感動を分かち合おうと黒歌は心に強く誓う。後日、そのことを妹がルドガーから実に微笑ましそうに伝えられて身悶えることも知らずに。そうした様々な思いの中、授業参観は進んで行くのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ