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日向の兎
1部
35話
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傀儡の攻撃自体はそれ程強力な物はない。忍具の射出、毒霧、仕込み刀による刺突、どれもアカデミーの生徒でも出来るような事だ。
つまり、白眼で仕込みどころか構造まで見えている私にとって、傀儡など脅威には当たらない。
加えて、傀儡を操るチャクラ糸は柔拳で断つことも容易い。幾らチャクラ糸が繋ぎ直す事が出来るとはいえ、その間の傀儡は文字通りただの役立たずになる。
そんな相手にあんな自信満々の表情を見せられて、私に一体どんな反応をしろというのだ?
とはいえ、本体は後ろの包帯に隠れて、傀儡を本体のように動かしている技量には敬意を払おう。
命無き物体を生きているかのように見せるというのは傀儡の真骨頂であり、究極的な本質とも言えるな。
これを演劇やらとして見たならば拍手を贈るのだろうが、残念ながらこれは戦いであり、白眼で丸分かりのせいでなんとも悲しい事になっている。
「それでは両者ともよろしいですか」
「当然じゃん」
「無論だ」
「では、始めてください」
試験官の合図と共に、カンクロウ改め彼の傀儡は後ろの包帯に隠れた本体を傀儡のように明らかな隙を見せつつ脇に置いた。
「速攻で終わらせるじゃん」
彼はそこで傀儡を本体と誤解した私が攻撃してきたところを、傀儡で捕まえようと考えているのだが、わざわざ突っ込んでやる事もない。
結果、カンクロウ側もカウンター狙いなので仕掛ける訳にもいかず、数秒間沈黙が続いた。
「…………」
「…………」
「なんで来ねぇじゃん?」
「……私の名前をもう一度見てみろ」
「日向ヒジリ……あぁ」
やっと彼も理解したようだ。他の血継限界ならば兎も角、日向と言えば三大瞳術というのは常識に近いものがある。
そして、白眼の能力は程度に差はあれ、そのおよそは知れ渡っている。
ましてや仮にも同盟国の砂隠れの里だ。白眼の特性である透視、経絡系の認識、全方位への視界くらいは知っているであろう。
ならば、何故私が攻撃しないのか?そして、この状況が一体どういう状況なのかも理解している筈だ。
「一応聞くが……この戦いに勝ち目があると思うか?」
「…………」
彼はまだ包帯の中に隠れながらも、幾らか考えを巡らせている。だが、妙だな。
彼の感情が妙だ。この後の戦いを想定して考えを巡らせて諦めの感情を抱くのは理解できる。仕込みは全て知られている傀儡師ほど手詰まりなものはない。
だが、何故結果を想定した後の感情が打算なのだ?考えて浮かんだ結果が敗北なり勝利だろうが、その後に一体何を計算しているのだ?
私がそれに対して考えているとカンクロウは包帯から姿を現して、試験官に棄権するとの意を伝えた。




「ヒジリと傀儡使いなんて酷い組み合わせもあったもんだよね」
私が試験場の上に位置する観
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