2部分:第二章
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第二章
「今までずっとあの基地にいたのか」
「ああ、アフリカ戦線からな」
「シチリアに上陸して攻め上がるのと一緒にな」
二人はこうオーウェルに話していく。
「それであの基地にいたんだよ」
「ミラノのな」
「そうか。俺は暫くイギリスにいた」
オーウェルはそうだったというのだ。
「いいよな、イタリアで」
「何だ?美人が多いからか?」
「その分気が強いぜ、イタリア女は」
「それだけじゃないさ。イギリスはな」
ここでオーウェルは苦々しい顔になった。そのうえで言うのだった。
「飯がまずい。洒落にならない位にな」
「そんなにまずいのか?」
「イギリスの食い物は」
「俺達アメリカ人も色々言われてるみたいだけれどな」
アメリカの食べ物の評判も聞いていることには聞いていたのである。それが決して芳しくないことも知ってはいる。
しかしである。ここでオーウェルはさらに話すのだった。
「何処をどうやったらあそこまでまずくできるのかわからん」
「そこまでか」
「そんなにまずかったのか」
「イタリアは美味いからいいな」
今度はイタリアの食べ物のことを話すのだった。
「ローマに来てびっくりしたよ」
「そんなにか」
「凄い目に逢ったんだな」
「B−17の基地じゃおかげで基地の飯ばかり食っていた」
そうだったというのだ。なおB−17の基地はイギリスにあった。そこからドイツ本土に向かい爆撃を行っていたのである。
「イギリスの飯はまずくてとてもだったからな」
「そうか、それでか」
「そうだよ。けれどイタリアはいいよな」
あらためて言うオーウェルだった。
「飯は美味い」
「そうだよな。やっぱり飯が美味くないとな」
「どうしようもないからな」
「全くだよ。それでドイツか」
オーウェルは自分の次の配属先についても考えを及ばせた。そのうえで言うのだった。
「飯はどうかな」
「流石にイギリスよりましだろ」
「ソーセージにビールが待ってるぜ」
「そうか。あとはモーゼルワインだよな」
「ああ、たっぷり飲めよ」
「今度会った時に感想聞くからな」
こんなやり取りをしながらアルプスを越えようとする。いよいよその青と白の世界に入った。しかしここで、であった。
ふとだ。マックローンが言うのだった。
「何かよ」
「ああ、そうだよな」
ガンナーも深刻な顔で彼に言葉を返す。その雲から顔を出す山々を見ながらだ。
「重いよな、何か」
「機体がな」
「俺はそこまで太ってないぞ」
オーウェルがすぐに行ってきた。
「言っておくがな」
「いや、それはわかってるからな」
「気にするな」
冗談に軽い言葉で返した。この辺りは流石に同期であった。
しかしそれでもだ。機体の重さは感じていた。それで
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