1プロローグ
[1/4]
[1]次 最後 [2]次話
戻りたい。と聞かれれば取り敢えずYesだ。誰だって自分が生まれ育った場所が恋しいし、僕もこんな体と生活とオサラバ出来る。
―でも本音は?
もう、いいかな。と
いまさら、ね。と
むしろ、いまが。と
誰もが…それは少し言い過ぎか。未だに未練がある人もいるし、向こうでの人間関係もある。全員とは言わないが過半数の人はそう、心の中では思っているかもしれない。
でも、ここは住み心地がとてもいいし、元の世界には無いもので満ち溢れている。その分逆にこっちに無いものも沢山あるが…、それを差し引いてもこの世界は魅力的だ。
かく言う私も……
「ほら、お姉ちゃん・・・・・おいで」
私は熱に浮かされたように、街灯の光に集まる蛾のようにフラフラと彼女の方へ近付いていく。彼女は自分の妹であるにも関わらず、年下であるにも関わらず、命令に逆らうことはできない。
彼女は私を優しく抱き止めた。私は奇妙な安心感と充足感を感じながら彼女に身を委ねた。
彼女は私の長い金髪を梳きながら、耳元で天使とも悪魔とも言える言葉を囁いた。
「お姉ちゃんは私のものなんだから私の言うことを聞いてればいいんだよ?だってお姉ちゃん…」
――私の奴隷だもんね――
* * *
「お兄ちゃんこれ!」
と、ノックもせずにいきなり僕、音木 涼の部屋に妹の音木 繭飛び込んで来た。
昨日で15歳の誕生日を迎えた繭は昔っからお兄ちゃんっ子で、事あるごとに僕の所にやってくる。未だに兄離れ出来ないのはいけないとは思いつつも、ついつい甘やかしてしまう。
因みに僕は16歳。同じ学校に通ってる繭は高校一年で僕は高校二年生。
繭は学校で高い人気を誇るほどで、身内贔屓を除いても美少女だ。兄妹であるとはいえ、たまにドキッとしてしまうこともあるし、繭の言いなりになってしまうこともあるけど、可愛い子は目にいれても痛くないとは良く言ったもの。もしかしたら僕も妹離れが出来ていないのかもしれない。
他の家庭よりもかなり兄妹仲が良いことと、僕自身の変身願望を除けば普通の一般家庭である。
そんな妹の手には昨日の誕生日にもらった誕生日プレゼントである、『Phantasy Second Life Online(ファンタジー セカンド ライフ オンライン)』通称【PSL】のパッケージが握られていた。
「それがどうしたん?」
ある程度解る…もとい。聞くのも野暮な事を確認をする。
「お兄ちゃんもこれやって!」
ほら、言わんこっちゃない…と僕は思った。
『Phant
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ