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Bistro sin〜神の名を持つ男〜
黒への一線.2

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.2
とある水曜日。その日は店の定休日。しかし、その日も従業員たちは店に訪れた。
その理由は…

20時、時間通り古田がやって来た。
カランカランと音をたてて、扉が開いた。
店内は、いつにも増して静けさが広がっていた。

平泉が古田を席へと案内する。
「こちらのお席にどうぞ。料理をお出しするまで、もう暫くお待ちください。その前に少しお話しませんか?」


時間は前後するが、2日前の月曜の食卓の時間、従業員たちは『仕事』の話をしていた。
それはBistro sinのレストランではない、もう一つの顔の仕事の話。

話の内容は、神の事件に関することだった。
平泉がいつものように、皆に話をする。
「皆さん、今回の仕事のターゲットは『神』様です。」

従業員は、そろそろその話が出るのではないかと思っていた。
「ようやく神関連の仕事が来たわけか。」
東がそう言うと、平泉は難しい顔をして言った。
「いえ、仕事の依頼自体は前々から幾つかは来ていたのですが…」
そう言うと六郎が声をあげた。
「じゃ、じゃあ何で今まで受けなかったんですか!?」
「…相手の素性が知れない限り、仕事をするのは雲をつかむようなものです。しかもそんな中での仕事は、私たち自身危険であり、得るものが少ない。太田くんに、動画の入力源等を解析してもらったのですが…」
そう言うと、太田が立ち上がって言った。
「それが…僕が解析しても、全く元を辿れなかったんだ。多分、相手は相当のハッキング技術を有しているんだと思う!」
それを聞いて、ようやく賢太郎が口を開いた。
「それでも、仕事の話をするということは相手の目星がついたってことですか?」
そう言うと、藤田が口を開いた。
「その話は私から…。」
平泉はコクりと頷いた。
「実は、先日私が帰る時、丁度その現場を目撃しまして…。その時、微かにですが『オルホ』の香りがいたしました。」

従業員が皆、「まさか!」という驚きの表情をした。

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