暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第八話。ジェヴォーダンの獣
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ありません」

「どうして解るの?」

詞乃ちゃんが興味深そうにリサに聞くとリサは背筋をしゃんと伸ばして。

「メイドですから」

そう返答した。

「いや、その返答はどうかなぁ……」

うん、なんかごめんよ。うちのメイドがおかしくて。

「どうやってこの世界に?
いや、それよりその姿は?」

リサが『ジェヴォーダンの獣』に変身するのには、2つのトリガーが必要なはずだ。
一つ目は『死の淵(アゴニサント)』。
リサも俺のヒステリアモードと同じように、βエンドルフィンで変身するタイプで、発動には『死にかける』という発動条件と、もう一つ。
『満月』が必要なはずだ。
さっきチラッと外を見た時は、雲がかかっていた為、今日の月の様子は解らなかったがリサが変身している事からおそらく今日は満月なんだろう。

「そ、それは……ご主人様を探していたら気づいたらこの村に……。
村に通じる道を歩いていた時に白ずくめの女の子に出会って、その子の紹介でこの建物に来たら詞乃様に保護してもらえたのです」

目頭に溜まった涙が流れないようにしながら答えるリサ。
泣かしてしまった事に罪悪感を感じながらもリサの口から出た言葉に考え込んでしまう。

「白い……女の子?」

果てしなく嫌な予感がしているが聞かなければいけない。
予想はついているが俺が誰なのか尋ねてみると、案の定、予想通りの返答が返ってきた。

「はい、ヤシロという可愛らしい女のお子様でした」

「やっぱり、か……」

ヤシロちゃんは神出鬼没だね。まさか異世界の村にまで現れるなんて。
リサの正体に勘づくのなんて流石というべきか。
ヤシロちゃんがリサと出会っていた事も衝撃的で気になる内容だったが、それよりも気になる事がある……。

「変身しているって事はまさか……」

リサの変身には『死の淵』と『満月』が必要で、変身しかけているという事はつまり……。

「あ、いえ。今の私は満月を直接見なくても変身できるんです。
ヤシロ様からいただいたDフォンの機能に『変身ボタン』というボタンがありましてそれを押せば何時でも何処でも自由自在に変身できるのです」

「このように」と言ってリサはDフォンを操作した。
すると半人狼化していたリサの姿がたちまち元の普通の人間の姿になった。
お尻から出ていた尻尾も、太くなった腕も全て元通りに一瞬でなってしまった。
それは衝撃的な事実だった。ボタン一つで変身できるメイドって。
それもモッサモッサの獣に変身って。
辺り一面殲滅しちゃうような変身を自由自在に出来るメイドさんになっていたなんて。

「随分とシュールな光景が目に浮かぶな……うん」

「ふふっ、これからは必要な時に何時でもご主人様の元に駆けつけ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ