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101番目の舶ィ語
第七話。常闇からの襲撃者
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ちゃんの目や鼻、口、そして服の下から大量の血が流れているんだ。

「え、ちょっ、嘘だろ??」

一瞬、『殺してしまった』のか、という罪悪感に焦りそうになったが、よくよく考えてみれば俺は2人をつき飛ばしただけだ。
ちょっと強めに押したが、それだけであんなに大怪我を負わせるはずはない。
『殺さないで相手を制圧する技術』を長年磨いてきた俺が相手にあんな大怪我させるような技をかけるわけない。

「つ、ミーちゃん、タッくん!」

「よせ!」

2人に駆け寄ろうとする音央の前に俺は立って止める。

「で、でもっ!」

「さっきの2人はどう考えても正気ではなかっただろ?
何をしてくるか解らないんだ、無闇に近寄ってはいけないよ」

「う、ぐっ、だって……っ」

「本当は俺だってすぐに駆け寄って、状態を確かめたい。
だけど、すぐに起き上がってきて、襲ってくる可能性だってあるんだ。
そしたら、また襲われるかもしれない。
襲われるのが俺だけならいい。けど音央が襲われるのは嫌なんだ。
だから今は我慢してほしい」

「……うん、そう、ね」

「……とりあえず、一之江を呼び出そう」

「う、うん……」

一之江もおそらく似たような目に遭ってるだろうが、彼女なら絶対に無事なはずだ。
そう思い、Dフォンのデータフォルダを開いたところで______。

殺気??

「へえ、生き延びたんだ?」

強烈な殺気とともに、突然声をかけられた俺は______

ガキィン??

咄嗟に振り向き、振り向きざまに手に握り締めていた包丁で振り下ろされた刃物を受け止めた。
刃物と刃物がぶつかり合う音が響く。
振り向いた視線の先。
赤い光の中に浮かんでいたのは……。

「一筋縄ではいかないんだね?」

朱井詞乃。
彼女が手に持つ出刃包丁を俺が握る包丁に突きつけて、にこやかに微笑んでいた。
そして包丁を引っ込めてから俺を見つめてきた。

「ロアと戦うのに慣れてるのかな?」

「さあね。黙秘権を行使したいね」

「ふーん、じゃあ話したくなるようにしてあげる」

詞乃ちゃんは俺に向けて出刃包丁を振り上げてきた。
しかし、その切っ先が俺に届く前に俺は包丁の先端を二本の指で受け止めた。

「わあっ! 刃物を指先だけで掴んで止めるなんて事ができるんだっ!
凄い、凄ーい」

「え? え? も、モンジ……人間……よね?」

俺がとった行動は簡単な動きだ。
振り下ろされた刃物の先を指先、人差し指と中指を使って挟み込むようにして止めただけ。
ただそれだけの動きをしただけにすぎない。
しかし、一般的な技ではなかったようで詞乃ちゃんは興奮気味で騒ぎ、音央は心底驚いた顔を浮かべた。
というか
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