Episode35:立ち込めしは暗雲
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それに加えて、一高は昨日招集された急造のチームだ。戦闘は、終始八高有利に進むと思われた。
だが、その大多数の予想を裏切る形で戦端は八高のモノリスの近くで開かれた。
試合開始から五分も経たない内に攻め込まれた八高ディフェンダーは、慌て気味に突貫してきたアタッカーである達也を迎え撃った。
しかし、達也の術式解体による非物理的衝撃波、つまりサイオンの爆発に発動しようとしていた魔法は消し飛ばされ、そのショックから達也から魔法の照準を外してしまう。
その隙に達也が右手の拳銃型CADの引き金を引いて、モノリスを解錠する。
分断され、開ききったモノリスを前に、しかし達也はコードを打ち込むことなくその場から退避した。
その直後にエア・ブリッドが着弾し、達也がいた場所の地面を深く抉った。
「チッ」
舌打ちをしたのは八高のルアー。ルアー解放から一分も経っていない内に達也の邪魔をできたのは、たまたま自陣近くがスタート位置だったのだろう。
しかしそれについて文句を言ったところで状況が好転するわけではない。まともに撃ち合うのは不利だと判断して、達也は鍛え上げた肉体を駆使して逃走を開始する。
「逃がすか!」
背を向けて茂みの中に逃げようとする達也に向けて、今度はルアーではなくディフェンスの選手が攻撃を仕掛けた。
木を迂回しながら縦横無尽に駆け抜ける達也に、それを追うように緻密な操作がなされた空気弾が掃射される。
いくら達也が忍術使いの教えを受けていて加速魔法を使用しているとはいえ、人間の脚力では魔弾の速さを上回ることは不可能。
逃げきれないと判断を下した達也は、迷うことなく迎撃を選択した。
引き抜いた銀の銃口を、イデアの世界を通して視た無色の弾丸へ向ける。
対象を設定。五発の空気弾を同時に撃ち落とすのは不可能と断じ、致命傷になり得る三発のみを撃ち落とす。
起動式が読み込まれ、魔法式が浮かび上がった刹那ーー
「見つけた」
ーー達也の頭上から影が差し、そして無色の城壁が五発の弾丸の全てを受け止めた。
「…隼人か。助かった」
達也に向け放たれたエア・ブリッドをファランクスで防ぎきった隼人はすぐ様木の枝を蹴って八高のディフェンダーに向けて腕を振った。
「摩天楼」
直後、下から巻き起こった風の奔流が八高ディフェンダーの体を吹き飛ばした。
「俺があのルアーを倒す。達也はレオ達の援護に行ってくれないかな?」
「分かった。気をつけろよ」
達也が八高陣地内で戦闘を開始してから少しして、一高陣地も二人の八高選手に襲われていた。それを視た隼人はコード入力の勝利ではなく、敵殲滅による勝利にプラン
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