Episode35:立ち込めしは暗雲
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の声は、一高の生徒間最高権力である三巨頭の三人と隼人が『笑顔』で黙らせた。
そんな背景がある中、達也を始めとして選手に選ばれた西城レオンハルトと吉田幹比古は、困惑しながらもその話を承諾し、現在は四人+エリカと美月で作戦を立てている所だ。
とは言え、急な話だ。試合は明日だというのに、既に時刻は21時。作戦を立てた所で、ぶっつけ本番になるのは明白だろう。
結局、達也がオフェンス、レオがディフェンス、幹比古が遊撃。そして隼人は参戦後真っ先に敵のルアーを潰すという大まかな役割を決めたのみで、作戦会議はお開きとなった。
ボス、という音がして、隼人の体はベッドへ沈み込んだ。
(よっしーは前を向き始めた。もう、大丈夫そうだな)
他の三人とは違い、CADの調整の必要がなかった隼人は先に自室に戻ってきていた。
どうやら懸念していた幼馴染の様子はそれ程悪くないようで、隼人は疲れ切りながらも嬉しそうな笑みを浮かべた。
隼人の幼馴染である幹比古は、過去の事故以来、古式魔法を上手く扱うことができなくて焦っていた。しかし、最近は色々とイレギュラーな達也と接しているお陰でどこか吹っ切れたような顔をしており、今日に至ってはこれまで頑なに拒んでいた他人に頼るということもしてみせた。大きな進歩と言っても過言ではない。
隼人は彼に対してなにもしてやる事ができなかったが、しかしそれでも幹比古の悩みが少しでも解決に向かうのであれば、彼にとって嬉しいことに変わりはない。
「…俺も、切り替えないといけないよね」
ベッドに仰向けになり、呟く。
相変わらず頭の中を占めるのはエリナの事ばかり。これでは駄目だと分かっていながら、しかし隼人は自分の命を狙ってきた彼女のことを思い出し、そして胸の痛みに顔を歪める。
「森崎くんと約束したんだから…絶対に、負けるわけにはいかない」
崩れた廃ビルの中で、鉄柱に脇腹を貫かれながらも、森崎は隼人に『勝ってくれ』と言ったのだ。
結局、その試合は隼人が殲滅用の広範囲魔法を放つ寸前で運営により強制終了させられてしまったのだが、真由美や十文字、摩利のお陰で棄権にならずにまだ試合を行うことができるようになった。
ならば、森崎との約束を果たす為には、優勝しなくてはならない。
「ーー俺は」
☆★☆★
翌日の朝。昨夜は早い時間に寝たからか、隼人はまだ早朝と呼べる時間帯に目を覚ました。
寝惚け眼を擦りながら横を見ても、そこに森崎の姿はない。再び後悔の念に苛まれそうになるのを頭を振って拒絶して、隼人はベッドから抜け出した。
「…少し散歩に行こうか」
試合の開始までまだ時間はたっぷりとある。未だ収まらない焦りを鎮めるには、むしろ部屋の中
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