Episode35:立ち込めしは暗雲
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なかった。
「さて、それが吉と出るか凶と出るか…」
もしエリナが完全に敵に回ったとしたら、確実に殺さなくてはならない。彼女は九十九を少し知りすぎた。
勿論、敵に回った場合の話だけど、覚悟しておくに越したことはないだろう。
「眠いな…ああ、けど、会長に呼ばれてるんだった」
部屋に備え付けられている壁時計に目を向けると、その針はちょうど約束の時間を指していた。
「酷い顔……洗ってから行こう」
みんなに要らない心配をかける訳にもいかないもんね。
☆★☆★
「失礼します」
時間帯は新人戦ミラージ・バットが終了してしばらくして。
隼人は指定の時間より少し遅れてミーティング・ルームへ入ってきた。
「あら、隼人くん。遅かったじゃない」
「すみません。寝坊してしまいまして…」
そう言って申し訳なさそうに笑う彼はいつも通りだが、どこか表情が冴えないのが真由美に分かった。
「やあ、達也。その様子だと無茶振りを引き受けてくれたみたいだね」
達也に接する隼人の様子も、いつもとさして変わった様子はない。しかしなぜか、真由美には隼人が無理をして笑っているように写っていた。
「まあな。あそこまで言われて、やらない訳にはいかないだろう」
「…なにを言ったのか分かりませんが、大体いつも通りだということは分かりました」
「む、心外だな九十九。それでは俺がいつも脅しているようではないか」
「十文字先輩は強面なのでただのお願いにしても威圧感が尋常じゃないんですよ」
十文字に詰め寄られて顔を引き攣らせているのも、いつも通り。
では、一体なにに違和感を覚えているのだろうか。
「九十九さん、少し顔が窶れているようですが…」
「え? あ、あはは!ちょっと寝不足なもので…昨日緊張しちゃって眠れなかったんですよ」
鈴音に詰め寄られると、十文字の時とは打って変わって顔を赤らめる隼人を見て、真由美は考えるのをやめた。
きっと見間違いに違いない。今日は色々な事があったから疲れているのだろう。
訝しげにこちらの名前を呼ぶ摩利に、真由美は「なんでもない」と返した。
「じゃあ達也くん、隼人くん。西城くんと吉田くんの説得は私たちに任せてちょうだい」
隼人はいつも通りだ。違和感を感じたのは勘違いに違いないと判断して、真由美は思考に蓋をした。
☆★☆★
九校戦始まって以来の大事故。それによって翌日までの復帰が不可能となった森崎達モノリス・コードのメンバー。
彼らの代わりとしてモノリス・コードの選手に選ばれたのは、一高の中では雑草と揶揄される二科生達であった。
当然上がる反発
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