空白期 中学編 06 「いざ、遊園地へ」
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「――っ!?」
バスが停車した瞬間、ショウくんが少しだけ動いた。その際、彼の髪の毛が首筋をなぞったため、思わず声が漏れそうになった。
あ、危なかった……いきなり「ひゃ――!?」とか言ったらユーリ達だけじゃなくて、他のお客さんにも注目されただろうし。それにショウくんを起こしたかも……えっと、何してるのかな?
隣に座っていたはずのユーリがいつの間にかケータイを片手に私の前に来ていた。彼女はケータイをこちらに向けると、にこりと笑う。
「えーと……ユーリ?」
「きれいに撮れましたよ」
こちらに向けられたユーリのケータイの画面には、頬を赤くしている私と寝ているショウくんが映っていた。彼女としては思い出の1枚として撮ったのだろうが、こちらの心境は穏やかではない。
ちょっ、ちょっとユーリ……それはまずいよ。わ、私だけならまだしもショウくんまで一緒に撮るのは。起きてるならまだしも寝ているところ……それも私に寄りかかっての状態なのはすっごくまずいよ。私の精神的にも。
そのように頭はフル回転してはいるのだが言葉が出てこない。それでも「それは消して」と身振り手振りで伝えようと試みるが
「あとでなのはさんのケータイにも送りますね」
などと勘違いされてしまった。
ユーリ、そうじゃないんだってば。隣にいるのがフェイトちゃんとかならまだいいけど、ショウくんとのツーショットはまずいよ。誰かに見られたら質問攻めされること間違いないし。嬉しいか嬉しくないかでいえば、ショウくんとはあまり写真撮ったことないから嬉しいけどさ。
「この席順にして正解でしたね」
「え?」
「わたしだと支えきれるか分かりませんし、レヴィだとじっとしていられないでしょうから。それにショウさん、とっても気持ち良さそうに寝てます。なのはさんのこと信頼しているんでしょうね」
ユーリの言葉に顔に感じる熱が増したような気がした。
し、信頼って……確かに出会った頃に比べれば、名前で呼び合うようになったし、会話する機会も増えたけど。でも気持ち良さそうに寝てるのは単純に疲れてるだけだと思うな……というか、そうじゃないと今にもこの場から逃げたくなるというか、席順を変わりたくなるし。
「ユーリ、ボクだってショウとは仲良しなんだぞ。それに気持ち良さそうに寝ている人を起こすような真似は……たまにしかしないかな」
たまにはするんだ……まあイタズラしそうな感じはするけど。
「でも今日はしないぞ。その証拠を見せるためにもなにょは、ボクと場所変わろう。今のままだと寝にくいだろうし……うん、膝枕してあげたほうがいいよね」
「いやいやいや、それだと私やユーリが隅に追いやられるから。それに動いたら多分起きちゃうからね。私は大丈夫だからこのままでいいよ」
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