第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月一日:『欠陥電気』
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「……やっぱり、気障過ぎたか」
それを見送り、ため息混じりに髪を掻いて。飾利の方に向き直れば。
「……………………」
「…………か、飾利さん?」
既に通話を終えていた彼女は、ニコニコと笑っている。さながら、般若を思わせる様子で。笑っているのに、冷や汗が吹き出るような。
「……わたしも、私用が出来たので戻ります。先輩はどうぞ、支部に報告してきてください」
「あっ、はい」
「それじゃあ、さようならです」
逆らう事を許さない語調に、思わず単純な返答で。敬礼までしてしまった。そして飾利は、振り向く事もなく。怒気を振り撒きながら、大通りに消えていって。
「……………………寂しい」
「呵呵呵呵、青春じゃのう」
最後には、この二人だけが残った。嚆矢は空しげに、ため息を再び溢してポケットをまさぐる。
マナーモードで震えた携帯を開き、届いていたメールを確認して。
「仕事か?」
「否、お袋から。時間有る時に連絡してくれってさ」
「ふぅむ、しかし、その『携帯電話』とか言う奴は便利じゃな……儂の分を用意しても良いのだぞ、是非もないのだぞ?」
「金が掛かるんだ、巫山戯んな」
「ぐぬぬ……貴様、さては金柑の回し者か! あー、詰まらぬ!」
と、携帯を欲しがる市媛を華麗にスルーして。どうせ、義妹の誕生日の事だろうと当たりを付けて、
“悪心影”に還り、背後に消えた市媛を気にする事もなく。さっさと支部にマネーカードを預けて今日の業務を終了すべく、歩き出して。
「……………………………………」
歩み出した大通り、そこに────ミニスカートが揺れていた。植え込みから突き出た灰色のプリーツスカートが、フリフリと……たまに青と白のストライプなものが、見えたり見えなかったり。
「……………………………………って、いかんいかん! 姑息だぞ、対馬嚆矢!」
思わず数秒見守ってしまってから、頭を振って邪念を払う。女性に対して不道徳な事をするのも、彼の『女性に優しくする』誓約に障る。
そう思い直して周りを見れば、同じように立ち止まって凝視している男性多数。このスケベ共が、と自分を棚に上げながら、つかつかと尻の前に立って背面警備する。
当然、周りの男共からは非難の視線が集まったが、風紀委員の腕章を見せれば蜘蛛の子を散らすように居なくなった。
「あ〜〜、おほん。そこの頭隠して尻隠さずなお嬢さん? 風紀委員だけど、少しいいかい?」
「…………それはミサカの事を指しているのでしょうか? と、ミサカは疑問を投げ掛けます」
「そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ