異なる物語との休日〜クロスクエスト〜
休日のF
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モンはイライラを押さえられない。何考えてんだこいつ。
「僕がアーニャにやってほしいことランキング第十三位。やってくれないから自分でやった」
「ウザいからやめろ」
どれだけネタに走れば気が済むんだこいつ。
「人生は刺激だらけだからかな。そう言うのがあってもいいと思うぜ?」
「あれ? シュウ? ……何でこんなところに」
気が付けば、いつの間にか隣にはアスナの兄、シュウが立っていた。今日は従業員の法被姿ではなく、私服なのだろう、パンクファッションのジャケット姿だった。
「いや、バイトは今日で終りなんでな。せっかくだから土産を買って行こうと思って」
「ああ、なるほど」
そう言えば正式社員じゃなくてバイト何だったか。と言うか今更だが、《白亜宮》にバイトを雇う意味って……ああ、お約束のご都合主義か。
「大正解だよ。良く分かったねセモン君」
「そりゃぁ……嫌でも分かるようになってしまう」
段々《白亜宮》、ひいては《主》の趣向が分かるようになってきてしまったのがつらい。もうやだ。
「そんな君に嬉しいお知らせ。あっちのコーナーを見てごらん」
そう言いながら、アスリウは売店の隅を指さす。そこには――――
メロンパンの天国があった。
「なん、だと……」
五段にも上る陳列棚に、所狭しと置かれた十余種に上る数々のメロンパンたち。
それに目を奪われ、我を忘れて絶句するセモン。メロンパンはセモンの大好物だ。メロンパンはこの世の至宝だ。同じく至宝であるコハクと同列ぐらいには至宝だ。セモンはメロンパンだけで一日の食事全てを賄いきることができる自信があった。
因みにセモンには預かり知らぬことだが、この『メロンパンだけで一日を過ごす』という事は、自在式による強い自己暗示で、実際に実現することが可能である。あくまでネタ能力でしかないが、メロンパンを自在式で生み出せるほどまでになれば、何もなくてもサバイバルができるというとんでもない生存力を取得することとなる。
「くっ……」
《白亜宮》で生産されたメロンパン……胡散臭い。とてつもなく胡散臭い。怪しい気配がとても強い。
だが。だがしかし。駄菓子菓子だ。
こうやって見ていると、あの無数のメロンパンたちが、「たべて〜たべて〜」「買って〜買って〜」とキラキラした目を向けているような気がして―――――
「お買い上げありがとうございました〜」
「……」
ドヤァと笑うアスリウににらみを利かせると、セモンはすでにお揃いの湯飲み茶碗(夫婦茶碗というのか)を買ったコハクの元へと戻った。
「清文……」
「すまん琥珀。メロンパンには勝てなかった」
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