神の世界.4
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.4
人の心理とは恐ろしいもので、燻られた本能や、憧れの気持ちから
神のあげる動画の模倣犯が相次いだのだ。
警察は動画の投稿から、入力源などを辿り出来うる限りで犯人逮捕に尽力した。
しかし、肝心の大元である神を捕まえることは出来ずにいた。
どういうわけか、その動画があげられている入力源も特定できず
どのように広まっていくのかさえ掴めなかった。
そんな中、遂に模倣犯ですら殺人を犯す動画があげられた。
殺されたのは、5年前に釈放されてから真面目に働いていた『前科のある』スーパーで働く男性だった。
最早日本が、手の付けようのない無法地帯へなるのも時間の問題かと思われた。
そんな中、注目を集めていたのが本家大元の神の投稿。
ある日の神の投稿で、神は制裁をあげるのではなくそれを見ているものへ語りかけるメッセージを投稿した。
「これを見ている全ての人々。恐れおののく人々。私を信じる人々。全てに語りかけよう。最早、この国に平和なんてない。…いや、元より平和なんてなかったのだ。皆がそれを語るだけで、いつだって平和などない。ただ、隣がどれだけ絶望にあっても、上部では心配こそしても所詮は他人事。そうやって、人々は平和だと語ってきた。だがどうだ?こうして自分の身にまで危険が迫ると、平和だと言ってはいられないだろう。人は今までに幾つも壊して、奪って、殺して、そうやって生きてきた。本来の生物とは違う、人間独自の正しさなんかを語って生きている『エゴ』の固まりだ。人は、人と言う種族は、本質に奪って殺すことが根付いている。誰も、その本質を消し去ることはできない。そう、この世界の全ての人々が私のように殺すことを本能に抱えているのだ。この世界の全てが、私と同じ。この世界の全てが私なのだ。この世界は、神の世界なのだ!全ての世界の人々よ、神の加護は信じるものに与えられる。」
その動画が、日本中の人々に大きな衝撃を与えたことは言うまでもない。
その日を境に、各地での犯罪件数は上昇していった。
それと同時に、Bistro sinへの『仕事』の依頼に幾つか神関連のものが現れるようになってきた。
夜の静寂はより一層深まり、人々の笑い声も前ほど聞こえなくなった気がする。
街全体が、活気を失っていた。
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