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Bistro sin〜神の名を持つ男〜
神の世界.3

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.3
最早、日本中の誰もが神の制裁を怖れていた。
今まで以上に人々を震撼させている要因には、死者が出たことが大きいのだろう。
だが、同時にそれが熱狂的な信仰者を更に駆り立てたこともまた事実。
警察も捜査本部を立てて、大々的に捜査を始めた。
街でも小さないざこざから、揉め事が増えたように思える。

今日も相変わらず、店への来客は少ない。
元より多くはないが、最近は更に少ない。
ウェイターの賢太郎も、さすがに店の経営の心配をし始めていた。

街でも同じように客足が伸び悩んで、暖簾をたたむ店が後を絶たなかった。

賢太郎の心配そうな顔を見て、平泉が近づいてきた。
「賢太郎くん、浮かない顔をしていますね。」
「あ、すいません…。」
「心配する理由もわかりますよ。藤田さんも、あんなに落ち着きがなかったくらいですからね。」
賢太郎がチラッと厨房の藤田に、目を配った。
藤田はいつも通り、厨房に立っていた。

平泉がそれを見て、再びニコリと笑って言った。
「だからこそ、ですよ。こんな時だからこそ、それでもお店に絵師を運んでくれるお客様のために、私たちは最高の持て成しをしなければならないんですよ。」

賢太郎は平泉のその言葉に、改めて平泉の接客の温かさを実感した。

相変わらず、客足が伸び悩む店内を賢太郎は軽い足取りで接客をする。
町外れでひっそりと営業してるこのレストランが、今や一番活気があるのかもしれない。
そう思えるほど、街は静けさに包まれていた。
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