マブラヴ
0899話
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いわゆるスク水と言われる紺の水着で、胸の所には『やしろ』と書かれたゼッケンが貼られている。
一瞬誰の趣味なのかと思ったが、少し考えればそれが誰の趣味なのかは明らかだった。
ビーチチェアで護衛の女をからかっている夕呼以外の誰でもないだろう。
そんな社は、水着姿にも関わらずいつものようにウサギの耳飾りを付けている。
あれって防水なのか?
そんな風に思いながら、こっちに近づいてきた社へと声を掛ける。
「どうした?」
「これ、何だかゴワゴワします」
「……ゴワゴワ?」
社の手に握られているのは貝殻。恐らくは砂浜に打ち上げられていた物だろう。
それを耳に――ウサギじゃなくて自前の――当てて目を瞑る。
ああ、なるほど。よく貝殻を耳に当てると波の音が聞こえるとか言うけど、あれの事か。
「どうぞ」
そう言ってもう1つの貝殻、社が持っている白く細長い巻き貝を俺に手渡してくる。
「なんだ、俺にくれるのか?」
「はい。初めて海に来たお土産です」
いや、お土産を一緒に海に来た俺にやってどうする。そうも思ったが、折角くれるというのだから貰っておくか。
「悪いな」
「いえ。お裾分けです」
お土産じゃなかったのか。
そんな風に思いつつ、受け取った貝殻を耳に当てる。
波の音が聞こえるような、聞こえないような……そんな微妙な感じ。
「ふふっ」
社と2人で貝殻を耳に当てていると、不意にそんな笑みが聞こえてくる。
そちらへと振り向くと、恭子が笑みを浮かべて俺と社の方へと視線を向けていた。
ただし、その笑みは夕呼の浮かべるような意味ありげな笑みではなく、微笑ましいものを見るような笑み。
「どうした?」
「いえ。2人を見ていると、どこか親子のように見えたものですから」
「親子、ねぇ」
社の年齢は10歳程。となると、俺が10歳過ぎくらいに作った子供って事になる。
いや、今の俺が20代の外見をしているからこその考えだが。
10歳の姿になれば友達で、15歳になれば兄妹ってところか。
「へー。じゃあ私がアクセルの妻って事になるのかしら」
そんな風に爆弾発言をしたのは、この砂浜にいる男の視線の何割かを引きつけている夕呼だった。
夕呼の美貌にこれだけ露出の激しい水着を着ていれば、そうなっても不思議じゃないが。
「お前、あっちで寝てたんじゃなかったのか」
「ええそうよ。けど、誰かさんがオイルを塗りにきてくれないから、こうして呼びに来たの。そうしたら面白い話をしているじゃない」
小さく笑みを浮かべ、挑発するようにその肌を見せつける夕呼に、思わず小さく溜息を吐く。
「別にオイルを塗るんなら、俺じゃなくてもいいだろうに」
「あら、ア
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