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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十一幕 「古の巨人の力」
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いていくその金色の少女は、ゆっくりとベルーナに近づいていった。

「い、行かせていいのでありましょうか!?もし万が一暴れたら……!」
「わからん。わからんが……どちらにせよ今から援護するのも止めるのも間に合わん」
「ま、佐藤なら何とかするさ。やればできる子ってな」
(……出遅れた。一瞬ためらって、出遅れた。私が守ると誓ったのに………)
(あ、言葉先生泣いてる。うーん、確かに女っぽい所あったな……)

この期に及んでシリアスを壊そうとするジョウはともかく、佐藤さんはまるで迎えに行くように自然な動きでベルーナに近づき、その身体をゆっくりと抱いた。
抱きしめられても尚、ベルーナは動かない。だが同時に背中の巨大な手も動かなかった。

「前に抱っこした時は、トーナメント前の襲撃事件だったかな。ベル君が私のことを心配して現場までやってきて……あの時はちょっと嬉しかったんだ。私の事を心配してくれる人って案外少ないからさ?」
「…………ぅぅううーー」
「だから、ちょっと欲張ってハグなんて教えちゃった。ベル君にもっとそんな感情を表に出してほしいと思ってさ」

それは殆ど独白に近かった。彼女に体を抱かれて尚、ベルーナの意思は戻る兆しを見せない。
それでも佐藤さんは狼狽えはしなかった。

「だからさ、ベル君――そんな虚ろな目でぼうっとしてないで、早く抱きしめ返して?……それとも、私の事キライになっちゃったの?」
「………――っ」

ベル―ナの身体がゆっくりと動く。
瞳に微かな意思が宿った。

その腕が――一瞬で佐藤さんの首に迫り、両腕で鷲掴みにするように喉を決め上げようとした。

「なっ――」
「まずい……!?」

一瞬周囲が武器を出して射撃しようとするが、それより一瞬だけ早く動いた人物が一人だけいた。



「こらっ!危ないことしようとしないのっ!!」


ごっちぃぃぃぃぃぃぃん!!と、ベルーナの脳天に佐藤さんの拳骨が直撃した。
その瞬間だけ言えばジョウの反応速度にさえ達するほどの、強烈な拳骨であった。その一撃の衝撃かどうかは知らないが、なんとベルーナの背中から噴き出ていたあの巨大な「手」も量子化の光に包まれて消滅していく。

「〜〜〜〜〜っ!?!?………い、痛い……?」

その戦闘行動と言えるか微妙な拳骨のショックで、はたと我に返ったようにベルーナが呟く。突如脳天に走った痛みに何が起きたのか分からないのか、大粒の涙を溜めながら混乱したように頭を押さえている。

「……説得する風を装ってのショック療法とか新しいな」
《流石は宿主が畏敬の念を抱くだけの事はある。吾もこれは読めなんだ》

佐藤さんからしたら、暴れる子供に拳骨くらいは普通の事だと思っている。……この状況下に及んでも。そして、佐
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