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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十一幕 「古の巨人の力」
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った表情を見せた。

「ふむ、やっぱり佐藤か。金色のおかげで見つけやすかったぜ」
「う、うう……ん、ジョウ……さん?」

衝撃で一瞬意識の飛んでいた佐藤さんが呻きながら目を開ける。しばらくぼうっとした彼女は、直ぐに目を覚ましたように勢いよく態勢を立て直す。見るからに慌てていて、普段の佐藤さんなら絶対にしないような無駄な動きで逆にバランスを崩していることからも、彼女の慌て具合が伺える。

「そ、そうだ!ジョウさんがいるってことは通常位相に戻ってるよね!ベル君はどこ!?」
「落ち着け佐藤!中で何があった!」
「それがわかんないからベル君を探してるんですっ!!」

焦るように彼女が周囲を見渡すのと――黒いISがけたたましい金属音と共にドゥエンデの一体に衝突したのは、ほぼ同じタイミングだった。


その黒いISに乗っているのがベルーナであることを、周囲は暫くのあいだ認識することが出来なかった。

何故ならそのISは、余りにも異形だったから。
背中からずるずると溢れ出る、液体とも固体とも知れない『何か』が、体積を無視したように這い出て膨れ上がり、広がっていく。触れれば命までも呑まれそうなそれを背負う姿が、言語にて現わせざる根源的な不安を煽った。

「ぁあああーーー……ううぅーーー……う、うがぁぁあぁぁぁぁあああああ!!!」

ドゥエンデの武器を鷲掴みにするように掴みかかったそれは、ベルーナ専用IS「モナルカ」の腕。
だが、その名前に反して背中から溢れ出るそれは蝶の羽と言うには余りにも冒涜的だった。

ISの背中から――IS自身の10倍以上はあろうかという質量の歪んだ液体のようなものが漏れ出し、意志を持っているかのように有機的に蠢く。そして、その腕は虚ろな目のベルーナに従うように、形を変えていき――形成されたのは、白と黒のマーブル模様が蠢く『もう一対の手』。

大きな大きな、巨人の手。
空に突き出された二本の人間の手が、彼の背中から突き出ていた。
そして――

「うがぁぁぁぁぁああああーーーーッ!!!」

瞬間、その腕はベルーナの咆哮とともにぶつかったドゥエンデを殴り落とした。地表に落下して大きな土煙をあげるドゥエンデは、衝撃で山の表面を弾き飛ばすほどの威力に一撃でその機能を停止し、全く動かなくなった。
それを見たドゥエンデの一機が、銃口をベルーナに向ける。

『――ターゲット確認。これより確保に移――』

だが銃口を向けたその時には、吠えるベルーナは既にそのドゥエンデの眼前に拳を振りかざしていた。

「がぁぁぁぁああーーーーッ!!」
『緊急回避――ガアっ!?』

まるで子供が虫を叩き落とすように――癇癪を起しておもちゃを壊すように、ドゥエンデはいともたやすく打ち壊された。力ない体が真っ
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