暁 〜小説投稿サイト〜
もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
外伝 苗っち、貧乏巫女との馴れ初め
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の。
二つ、そうなる前に幻想郷の管理者にスカウトされた、若しくは自力で入って来たもの。
三つ、妖怪の餌や次元の歪みの影響で、図らずして訪れてしまったもの。

なんだかお気楽には見えるがかなりの力を内包しているらしいことと、この状況に何の疑問も抱いていないように見える事。以上の2つから霊夢は彼女が二つ目に相当する存在だと当たりをつけていた。

ノースリーブのワンピースに着物を融合させたような黒を基調とした大人しめなドレス。服の後ろには太極の描かれた丸い金属製の円盤が2つ、猫又の尻尾のように垂れ下がってている。両腕は金属プレートの付いた手甲と堅苦しい腕輪を嵌めており、霊夢に負けないほど細身なその身体には正直不似合いだった。
首からは少し赤みの強い薄紅色のスカーフ。髪の長さは霊夢より少し長いだろうか?風になびかれて流水のように揺れる髪はカチューシャによってある程度固定されているらしく、ピンク色の花飾りと紫の子兎のぬいぐるみがどちらも映えている。

そんな彼女の話を座布団の上に座りながら聞いていた霊夢はすこしぼうっとした頭で彼女の言葉を整理した。

「へぇ、師匠に修行の一環としてねぇ」

次の煎餅を齧ろうと手を伸ばし、既に無くなっていることに気付いた霊夢は、受け皿の底に転がっていた欠片をつまんで口の中に放り込んだ。目の前でにこにこしている少女は現在博麗神社内の和室に自分が招待した。煎餅喰いたいという願望を達成できなくなった霊夢は「明日貰ってくるか」と気持ちを切り替える。
煎餅屋は私に金が無い事を知っていて、いつも焼きそこない等の商品にならないものを取っておいてくれる。昔妖怪退治ついでに助けてあげた頃からそうなのだ。そのことに嬉しさと同時にほんのちょっぴりの申し訳なさを感じるからこそ賽銭が欲しいのだ。

普段なら適当に喋って人里に送り出す霊夢だが、一度とはいえ自分の勘を完全に騙した彼女の事が心のどこかで気にかかっていた。ついでにスペルカードルール等は詳しくは知らない様子だったため、それも説明する気でいる。・・・賽銭を入れてくれたらもっと好待遇にする準備があるが。

「そーなんです。師匠曰くヤクモさんには話しを通してるらしいですよ?」

目に前には未だ食べきっていない煎餅を小動物のようにちびちび齧っている少女――苗というらしい――が自身の身の上話をしていた。何でも大きすぎる力をコントロールできるようにするための修行中なんだそうだ。煎餅寄越せ、という目で睨んでみたら半分分けてくれたので少なくとも魔理沙よりはいい奴っぽいな、と勝手に分析する。

ふーん、と適当に相槌を打った霊夢はふとある疑問を抱いた。
幻想郷の管理者である大妖怪・八雲紫はいつも胡散臭さを服にして纏っているような女だが、親しい存在以外には結構礼儀をわきまえている。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ