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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
外伝 苗っち、貧乏巫女との馴れ初め
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のスペシャリストにして幻想郷の抑止力である彼女の手から、震えが消えない。
今までたったの一度も感じたことのない心の乱れ。不安。抑圧。束縛。恐怖。戦慄。
そう言ったモノを寄せ集めて塊にしたような、空間を拒絶するような存在感が正面から押し寄せていた。

人も妖も妖精も霊も鬼も悪魔も、神や聖人ですら打ち負かしてきた彼女の身体が戦うことを拒絶している。次の瞬間に自分の足場がすべて消滅するかのような言いようのない畏れ。

相手は間違いなく現れる。博麗大結界にも異常は感じないのに、相手は結界をすり抜けてやってきているのだろうか。……あり得ない話ではない。大結界を維持している”八雲紫”と同等の力を持っていればそれも可能だろう。
だから、今から来るのは――この幻想郷すべてを取り仕切る大妖怪と同等か、若しくはそれ以上。

その紫からでさえ、これほどの危機感は感じなかった。これほどのプレッシャーは感じなかった。
喉が干上がり、札を握る手が汗まみれになることだって無かった。
ありえない、と思った。私は死ぬのか、とも思った。まだ姿すら見せていないそのおぞましい存在に、しかし彼女の脚は決して後ずさることは無かった。

例え何が出てこようとも、自分は幻想郷を愛する博麗の霊夢だ。
その意志だけは、決して揺らぐことは無かったから。



ぴー……と、空間に切れ目が入った。



そしてその中から一人の少女が幻想の大地に足を置いた、その瞬間――霊夢は今度こそ体が凍りついた。

何故ならばそこにいたのは――彼女の想像からはとてつもなくかけ離れた存在がいたからだ。


「さあ本日も”(オードリー)のお悩み相談室”の時間がやってまいりました!本日も司会は私こと鳳苗!今回のゲストは飼い猫のぽんずで御座います!!」
「まーお」
「今回は何と『出張!幻想郷特設相談室』!神々の愛した大地こと幻想郷で適当に人を捕まえて無理矢理相談してもらおうと思います!!」
「ぅみゃお」
「んー?すぐ近くに第一村人がいる?……あ、ほんとだ」

そこからは不安も抑圧も束縛も恐怖も戦慄も等しく感じられず、ただ見知らぬ少女の無邪気な笑みが広がるだけだった。――何が起きているのかを一瞬見失って言葉が出ない私に少女は話しかけてくる。

「こんにちは!わたくし、見習い道士の鳳って言います!突然ですがお悩みをお聞かせください!!」

猫を引き連れてぺらぺら喋っていたその少女に呆気にとられた私は取り敢えず・・・

「誰も賽銭入れてくれなくて困ってるわ」

と、何故か切実な悩みを吐露したのであった。



 = = =



――幻想郷に訪れる存在には大まかに分けて3種類ある。

一つ、外の世界で存在を忘れられ、文字通り”幻想”となったも
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