三十二話:愛おしいこの幸せ
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ガーが水着を忘れていたから持ってきておいたにゃ。それじゃあ、また後でね」
そう言って、水着の入った袋を手渡される俺……。理解されなくたって泣かないんだからな!
結局その後、俺は体操座りを無理やり、やめさせられてイッセーと祐斗にズルズルと引きずられながら更衣室にまで連れていかれたのだった。
現在、俺達オカルト研究部、男子組はプールサイドで女子が来るのを待っている。こういうのは総じて女性が着替えるのには時間が掛かるからな。以前からの経験でも分かっている。まあ、こういうのは待つのも楽しみの内だよな。夏の焼けるような日差しが俺達を照らしてくるが我慢だ。そうして待っていると二人の視線が俺の着ている物に集中してくる。どうやら、二人は気づいたようだな、俺の羽織っている物の正体に。
「ねえ、ルドガー君……そのパーカーって、もしかして―――」
「『クロパーカー』だ。勿論モデルは猫状態の黒歌だ。可愛いだろ? 因みに手作りだ」
「しかも手作りで作ったのかよ……。呆れを通り越して尊敬するぜ」
そう、俺がたった今、ドヤ顔で羽織っているのは俺手作りの『クロパーカー』だ。密かに計画を着工してからつい先日に出来上がった俺の渾身の一品だ。因みに特にこだわった所は耳の部分だな。出来るだけ黒歌の癒し成分と可愛らしさが引き出されるように何度も作り直したからな。
因みにこれは302回目でようやく納得のいく出来になったものだ。
予定よりも早いお披露目になったがどこに出しても恥ずかしくないレベルの代物だ。
「ルドガー、お待たせにゃ」
そんなところにはずむ様な黒歌の声が聞こえてくる。俺は直ぐにそちらを向きたいのを堪えてイッセーの方を向く。まずはやらないといけないことがあるからな。悪いが犠牲になってもらうぞイッセー。俺は若干鼻を伸ばして黒歌の方を見ようとするイッセーの目に目掛けて―――
「じゃんけん、チョキ!」
「目がっ! 目がああああっ!?」
二本の指を突き立てる。悪いな、イッセー。気持ちは分かるがお前みたいな、いやらしい目線を黒歌に向けられるのが俺は我慢ならないんだ。お前がいたって普通の、そうだな……隣で顔を青ざめて必死に黒歌から目を背けている祐斗と同じぐらい普通の目になれたら目つぶしはしないから頑張ってくれ。
さて、気を取り直して黒歌の水着姿を褒めるとしよう。そう思って黒歌の方を見る。少し興奮しているのか、頬を赤らめてこちらを見つめてくる黒歌のプロポーション抜群の肢体はシンプルな白のビキニ姿で包まれており黒歌の黒髪と絶妙なコントラストを描いている。
一言で言うと……綺麗だな。他に言い表せる言葉が見つからない自分の語彙力が情けない。
「その……綺麗だよ、凄く。……これ
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