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戦極姫 天狗の誓い
第6話 胸糞悪い現実と夢
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どうくせぇ〜」

口で言いつつも筆を取って書物に走らせた。





「ええと……ここはこうでここがこうなって……」

資料を見ながら筆を走らせる。段々この作業にも慣れてきて俺は快調に仕事を消化していった。

「終わったぜ……。よーし、遊ぶぞぉ」

筆を置いて立ち上がり、襖を開いて廊下へ出る。




「あ、軍師さんお仕事わったの?」
「ああ、そんな訳で払うもん払え」

段臓殿はいつものいたずらっ子のような笑みから、腹に一物抱えてますといった笑みに変わった。
傍から見ればただ笑みを浮かべているだけで分からないかもしれないが、俺には分かる。
碌でもない事だ。

「軍師さんって結構すごい人? あたしはああいう仕事に苦手なんだけど」
「軍師だからな」

そんなに難しい仕事だったとは……どうやら俺はできる男らしい。

「ねえねえ、軍師さん」
「如何した? 段臓殿」

黒い笑顔を浮かべながら、段臓殿は俺の目を覗き込む。

「軍師さん、忍びにならない? 戦闘専門のさ」

俺はこの誘いに驚いた。なんで急に……。

「え? なんで戦闘専門? 忍って普通情報収集専門だろ?」
「私とやり合う人なんて今までいなかったからさ。軍師さん、武闘派の忍びだよ? それにさっきの仕事をこんなにすぐに終わらせるなんて……向いてると思うんだよな〜。何より……」

段臓殿が顔を近づけて来て、俺の耳の辺りで呟く。

「冷たい目をしてるもん……。何事にも躊躇がない顔……。完成された忍の眼だよ?」
「………………」
「どう…………?」
「嫌だね。だって、またお前に仕事押し付けられるの面倒だもん」

笑いを交えながら俺は言った。それを見た段臓殿も笑みを浮かべながら口を開く。

「ありゃ、御見通し? でも軍師さん、その笑みの中に隠した冷たい心。好みだよ?」
「そりゃどうも」
「でも、軍師さんて人を睨み見つけたら人殺しみたいな顔だよね」
皮肉そうに段臓殿が言う。その笑みはいたずらっ子そのものだ。
「話変わったな。てかどういう意味だこら」
「じゃーね!」
そう言って段臓殿は姿を消した。大方天井裏にでも行ったのだろう。しばらく、その場で段臓殿に言われたことを思い返す。冷たい目……段臓殿のような忍びだからこそ分かるのだろうか?
人殺しの顔って、俺ってそんなに怖い顔してるのか?
いや、町に見回りに出た時子供が怖がってたから本当に……。
まったく、これだから目つき悪いのは困るんだ。



「颯馬」
「ヘアッ!?」

後ろから謙信様に声をかけられ、口から変な言葉が飛び出す。謙信様はくすりと笑い、共に町の見回りに行かないかと誘ってきた。



「でも、よかったんですか? 謙信様」

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