問題児たちのギフト
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味だと思っていたが、後から辛味が出てきて少し春日部の顔が渋った。
「少し、辛い……」
「まぁ味は勘弁してくれ。だけど何か感じるものがないか?」
別になにもないと言おうとした瞬間、寒さが一気になくなっていった。周り一体は変わってないのに何故か体温が上がった。
「なんか暖かくなってきたよ?」
「効果が出てきたな。そのアメは体温を一時的に上げるアメでな。よく冬の寒い日とか、極寒の所に行くときにいつも持ち歩いていたんだ。俺は魔法が使えなかったからそれで代用してただけだがな」
俺の元いた世界では魔法を使える生徒がほぼいた。だけど例外としている生徒もいたそうだ、俺のように。そのために作られたのがこのアメだったのだ。
「それで寒くはなくなるだろう。この辺りでも結構な寒さだ。山脈に近づくとさらに寒くなるだろ?」
「うん。ありがとう荒谷」
「おう。春日部は必ず成功する、俺はそう思ってるぜ」
俺は少しギザなセリフを言ってしまい、少し恥ずかしかったが春日部は微笑んで呟いた。
「うん……、頑張る」
そして、白夜叉がスタートの合図をし、グリフォンと春日部は遠く離れっていった。
「なかなかカッコイイこと言うじゃない、荒谷君」
「ヤハハ!なんか面白そうだな」
「う、うるせぇ〜!」
クスクスと笑う飛鳥。ヤハハと笑う十六夜。よく呑気にいられますねと黒ウサギは肩を落としながら言うのであった。
数分後、山脈の方からグリフォンの姿が見えた。後は湖畔の中心に来るだけだ。そして、ついに湖畔の中心まで疾走したグリフォン。
『小娘、貴様の勝利……』
春日部の勝利が決まったと思ったら、春日部が手から手綱が外れ、そのまま下に急降下していった。このまま落ちると怪我じゃすまないかもしれない。
「なっ!?」
「春日部さん!?」
俺と黒ウサギは助けに行こうとしたが、十六夜に止められた。
「い、十六夜!」
「十六夜さん、離して!!」
「まだだ!まだ終わってない!」
すると、春日部の体が翻り、空中で浮いたのだ。まるでさっきのグリフォンの真似をしているかのように。
「「「え?」」」
その場にいた全員が絶句した。無理もない。先ほどまでそんな素振りを見せなかった彼女だが、風を纏って浮いているのだから。春日部はそのまま俺たちの方へ降りてきた。
『お、お嬢無事だったか!?』
「三毛猫……」
駆け寄る三毛猫に優しく撫でてやる。よほど心配だったのだろう。
「やっぱり。お前のギフトって、他の生物の特性を手に入れる類だったんだな」
「……違う。これは友達になった証」
「十六夜は知ってたのか?」
「いーや、ただの推測さ。お前、黒ウサギ
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