問題児たちのギフト
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の瞳はまっすぐグリフォンに向いている。その瞳はまるで探し続けていた宝物を見つけた子供のように輝いていた。よほどグリフォンにあったのが嬉しかったのだろう。
「ま、二人がそういうなら俺もパスだ」
春日部は幻獣と呼ばれるものと相対するのは初めての経験であり、初めてのゲームだ。まずは慎重に話しかけた。
「え、えーと。初めまして、春日部耀です」
『!?』
グリフォンは驚いていた。それもそのはず、人間が幻獣に話しかけるなどそうそうないことだからだ。どうやらジンの言ってた通り、春日部は幻獣とも話せそうだな。
「ほう、あの娘グリフォンと言葉を交わすか」
白夜叉も感心したように扇を広げた。春日部は大きく息を吸って、一息に述べる。
「私を貴方の背に乗せ、誇りを賭けて勝負をしませんか?」
『………何………!?』
グリフォンの声の瞳に闘志が宿る。気高い彼らにとって誇りを賭けろとは最も効果的な挑発だ。
「あの山脈から時計回りに大きく迂回して、湖畔に着いても私が背に乗っていたなら私の勝ち。それまでに振り落とされたら、貴方の勝ち。………どうかな?」
『ふむ。お前の述べる通り、娘一人振るい落とせないならば、私の名誉は失墜するだろう。だが娘、誇りの価値にお前は何を賭す?』
「命を賭けます」
きっぱりとそう答えた。最初から決めていたように。それを聞いて黒ウサギと飛鳥は驚き止めに入ろうとした。さすがの俺も、少し戸惑った。
「春日部、それはいくらなんでも」
「そ、そうです!!」
「か、春日部さん!?本気なの!?」
「下がれ、三人とも」
その言葉にはとてつもなく威圧感があった。
「あぁ。無粋な事はやめとけ」
「そんな問題ではございません!!同士にこんな分の悪いゲームをさせるわけには……」
「大丈夫だよ」
春日部は振り向きながら俺と飛鳥と黒ウサギに頷く。俺は春日部の瞳に何の気負いもないと感じ、勝算ありの表情をしていた。
「………わかった。その顔に嘘はなさそうだな」
「うん」
「耀さん……」
「ま、信じてやれよ。最初に手を挙げて、それも一番やりたがっていた。そんなやつが簡単にやられることはない。俺はそう思うぜ」
そう言うと黒ウサギは半分理解してくれたらしく、引き下がった。
グリフォンも承諾してくれ、春日部は背に跨り、手綱をしっかり握りしめ、獅子の胴体に跨る。スタート前に、俺はある物を春日部に渡した。
「あ、そうだ。春日部、ほら」
俺はそう言うと、一つのアメみたいなものを春日部に渡した。
「……?なにこれ」
「いいから食べてみろって」
春日部は言われた通りに、それを食べてみた。何ともない
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