第十三話 立花中尉!野球は九人でするものだ!その十一
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その彼等が戦うからだとだ、桂と大山は西郷に言った。
「この甲子園においてです」
「我々は勝ちます」
「そしていよいよ」
「再併合に進めます」
この政策にというのだ。
「いよいよ」
「そして、です」
「あの半島を今度こそです」
「真の意味で繁栄させましょう」
「天下はただ物質が豊かになるだけでは駄目でごわす」
西郷も言う。
「それは心もでごわす」
「はい、心も豊かになってこそ」
「真の天下の繁栄です」
「今太平洋は確かに物はあります」
「食べるものに困っていません」
「エネルギーも技術もあります」
「繁栄はしています」
物質的には、というのだ。だが。
桂と大山もだ、その彼等の理想からこう言うのだった。
「しかし心はどうか」
「心の繁栄はまだまだです」
「そこまでは至っておりません」
「到底」
「その通りでごわす」
まさにそうだと言う西郷だった。
「あの半島にしてもそれは然り」
「先の併合ではまだ至りませんでした」
「心の繁栄までは」
「しかし今度こそはです」
「それを」
「成し遂げるでごわす」
必ず、と言うのだった。そしてだった。
西郷は沢村がベンチに戻って来たところでだ、その彼に対して微笑み何処までも純粋で気品に溢れた笑みで言ったのだった。
「立花中尉」
「はい」
「この度のことは任せるでごわす」
「必ずやです」
これ以上はないまでに強い声でだ、立花は西郷に答えた。細面で精悍なその顔は何処か沢村栄治を思わせる。
「この超光速の速球、三十色の変化球で」
「ジャスティスカイザーを倒すでごわすな」
「彼等を懲らしめ」
そして、というのだ。
「彼等に正しき道を教えましょう」
「おはんなら出来るでごわす」
その微笑みでこうも言う西郷だった。
「彼等を倒せるでごわす」
「そう言って頂けますか」
「その通りでごわす」
まさにとだ、西郷はまた言葉を返した。
「野球もまた道でごわす」
「野球は最高です」
中村はその目を輝かせて言い切った。
「最高のスポーツです」
「心地よく汗を流せるスポーツでごわすな」
「作者も大好きです」
「うむ、作者はソフトバンクファンでごわす」
「阪神ファンではありませんね」
「阪神は嫌いではないでごわす」
関西に生まれ育っていて嫌いになる筈がない、あの勝とうが負けようが絵になり華がある、それは阪神だけのことだ。
「そしてその阪神の本拠地である甲子園で」
「高校野球の聖地で」
戦前は中学校だった、当時の中学は五年制であり中学野球だったのだ。
「私が彼等に引導を渡します」
「そうしてくれると何よりでごわす」
「では」
「武運長久を祈るでごわす」
西郷は敬礼した中村に返した、そしてだった。
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