第五話
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たんだけど、あの子自身はそうじゃない。むしろ会えてうれしかったくらい。顔は見えなかったけど、たぶん可愛い子だっただろうし。
「殺されなかったら、ねぇ……」
現実でそんな言葉を聞く機会があるとは、思ってもいなかった。
毎日楽しく過ごしてきた、そしてそれがこれからも続くんだろうなぁ、と考えてきた俺からすれば、殺される云々なんて全く別の、それこそ外国とか、テレビなんかの創作物の中での話なんだ。
「白昼夢だったってわけでもないみたいだし……」
さっき自分の携帯を置いた反対側には、黒い携帯が置いてある。最後の希望として幻覚だったらいいなぁと思ったのだが、ちゃんと触れている。まず間違いなく、あれは現実だ。
って、白昼夢だった、てのもなんか字面的にいやだなぁ。昼に自分が殺される夢を見た身としては。
『Dフォン』。ラインちゃん曰く、俺と縁のある相手を探してくれる、そして俺を守ってくれる端末であるらしい黒い携帯電話。それが事実だとすれば、どうしてそんなものを俺が持つ事になったのだろうか?
隠すまでもなく、俺はごく普通の高校生だ。何か珍しいものがあるとすれば、射撃部に所属していることくらいだ。大会の記録なんかもあるにはあるけど、それだって命が関わるような案件に関連してくるほどのものではない。そもそも、それなりに体力はあるし走ることも出来るけど、射撃以外のスポーツが何か出来たためしはない。勉強もいたって普通。強いて言えば数学と国語が出来る方だけど、文系か理系かもはっきりしないような中途半端なもんだ。
他の要素を見ても、まあ何もない。なんて事のない普通の人間だ。なのに。
「こんな、良く分からんもんをもらってもなぁ……」
手にとってそれを眺める。男女問わずに好かれそうなこのデザインは、市販されたら多くの人がこれに機種変更するだろう。だが、周りにこれを使っている人はいない。
その他もろもろ色々と言われたけど、まあ理解は出来なかった。とにかく、こうして持ったからって何かが起こるわけではないようだ。
「……何もしなかったら、何も分からないままだよな」
腹をくくって電源を入れてみると、『Dフォン』というロゴがカッコよく表示された。そのまま一通りいじってみると、とりあえず携帯についているような機能は一通り使えるらしい。とはいえ、電話やメールは普通には出来ないみたいだけど。どこを調べてみても、これの電話番号やメアドは分からない。さらに俺自身の携帯にかけたりメールを送ったりしようとしてみたが、どれも出来ずにいる。
「これでどう俺の身を守れと……ん?」
と、これの対処に悩んでいたら待ち受け画面の一番下にアイコンがあった。そこには『サイト接続』と書いてあったので、とりあえずそこに合わ
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