第二百三話
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第二百三話 前日の練習
練習は遂に前日にまで行われた、すると。
その演奏を聴いてだ、梨花は会心の声でこう言った。
「これだとね」
「いけるのね」
「そう思うわ」
こう華奈子にも答える。
「私はね」
「梨花ちゃんがそう言うのならね」
華奈子もこう応える。
「いけるわね」10
「そう言ってくれるのね」
「うん、かなりいけるわ」
こう笑顔で言う華奈子だった。
「だって梨花ちゃん駄目だと言わないから」
「あっ、そうかしら」
「うん、アウトだったらね」
その時はというのだ。
「本当に何も言わないでしょ」
「それで調子のいい時は言うから」
「そうだったの」
「それで今はいいって言うから」
「何か自分で気付かなかったわ」
グループの調子がいい時に言うことは、というのだ。このことは梨花にしても華奈子に言われるまで気付かないことだった。
それでだ、梨花はこのことの方を言うのだった。
「私そうだったのね」
「悪かったり普通だとそのままなのよ」
「何も言わなくて」
「いいと言うのよ」
「いいって言うのね」
「そう、だから今のあたし達はね」
華奈子は笑顔だった、やはり梨花のその言葉で演奏の状況がわかったからだ。
「いいからね」
「このまま明日も」
「やっていけそうね」
「前日で駄目だったら」
「かなりまずいからね」
「うん、けれどいいっていうから」
それで、というのだ。
「安心出来るわ」
「安心出来たらね」
「それだけで違うから」
「うん、ただ」
ここでこうも言う梨花だった。
「油断は禁物よ」
「そうよね、慢心したらね」
「成功するものもしないから」
「本番も気を引き締めて」
「そうしてやっていきましょう」
「わかったわ」
華奈子は梨花のその言葉に笑顔で応えた、そのうえで明日の本番に向かうのだった。意気揚々であるが気を引き締めつつ。
第二百三話 完
2015・1・16
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