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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン18 冥府の姫と純白の龍
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体に成り果てた骸骨の王の体が、ちょうど吹いてきた風を受けて静かに砂となってどこかへ飛んでいく。その様子を悲しげに見送り、改めて彼女は男に向き直る。

「スピリットモンスターの阿修羅はエンドフェイズに持ち主の手札に戻る………それじゃあ、あとは私のターンでいいよね?だってさ。このターンのドローでどっちが勝つかが決まるからね、この空気は嫌いじゃないよ。ドローッ!」

 手札もなく、伏せの1枚もない夢想のラストドロー。いつもそうであるように、負ける気はまるでしなかった。だが、デッキに手を乗せてカードを引こうとした、まさにその瞬間。

 ピーピーピー。

 場の雰囲気に不釣り合いなアラーム音が静かな町に鳴り響くと、それを聞いた男がいっぺんに顔色を変える。

「クソッ、時間切れかよ!おい、この勝負は俺の負けだ。サレンダーだ。ぐずぐずしてると俺まで巻き込まれちまうからな、外に出られるうちにさっさと行かせてもらうぜ。ただ、こいつはマジの忠告だ。明らかにヤバいことが起こりつつあるから、なんとかこの町の外に出ろよ!じゃなっ!」

 大慌てで言いたいことだけ喋ると、くるりと背を向けてどこかへ走り去っていく。とっさに追いかけようとするも、まるで狙っていたかのようなタイミングの良さで後ろの店内から清明たちが出てきたので断念する。

「夢想、こんな所にいたの?一体何やって………あー、なんか急に曇ってきてるね。ったくもう、予報じゃ1日中晴れだったってのに。ほら、降ってきそうだしいったん中入ろ?」

 清明の声をぼんやりと聞きながら、デュエルが強制解除させられたデュエルディスクから次に引くはずだったカードを取りだしてみる。
 それはトラップカード、運命の分かれ道。お互いにコイントスをして、2000ポイントのダメージか回復を受けるカード。つまりあのデュエルは、まだどうなるかわからなかった。どちらかが裏を出せば、お互いにライフが2000を切っていたあの状況ではそれが引導火力になる。

「むーそうー!」
「嬢ちゃん、早いとこ入ってきな」
「………はい、だってさ」

 いつまでも引きずっていても仕方がない。そう結論付け、カードを元の位置に戻す。そのまま店に入る寸前ふと何かの気配を感じた気がして上を見るが、そこには重苦しい空が広がっているだけだった。



 今のところは。
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